第14話 クローン体①

「ざっと説明すると、こんな感じかなっ!」


 えっちゃんにマイルームの簡単に説明してもらったが、かなりのチート能力だと分かった。


 ちなみにマイルームを稼働させるのに必要な精神力は肉体の成長と共に増えるのが普通で、0歳である自分がマイルームに入れる事自体が特例らしい。


 しかし、やはり0歳では精神力が低いのは当然で、使える機能はごく一部らしい。


 目の前に使えるチート能力があるのに使えない……ペットの待て状態。


「それでは今回のメインである、クローン体をマイルームに呼んでみようか! じゃあ、白い部屋に行ってみようか」


「分かりました」


 やっと今回の目的であるクローン体の登場か。


 自分はえっちゃんに言われるがままにマイルームにある唯一の扉である別部屋を、白い部屋に行きたいと念じながら扉を開く。


 すると、見渡す限り真っ白な空間が広がっていた。


 さっきも見たが、これは完全に精神と○のなんちゃらじゃん!ってえっちゃんに突っ込んでしまった。


「今回は一発で成功だね! 流石はマスター。これ系の習得スピードが異常だね!」


「あはは、ありがとう。でも流石に褒め過ぎだよ」


 このマイルーム内にある別部屋は、行きたい部屋をイメージしてから扉を開くと、行きたい部屋へと繋がる〇〇でもドアみたいなパクリ扉である。


 さっきは何度か失敗して違う部屋に飛んでしまったが、それは行った事の無い部屋をえっちゃんの言葉だけでイメージしていたからであって、一度行った部屋には簡単に行けると思うから、えっちゃんの褒め方が過剰な気はするが……褒められるのは悪くないかも。


 自分は褒められて伸びるタイプかもしれない。


「いやいや、本当だよ? 普通の超越者なら最低でも3年はかかるからね? テレちゃんなんて200年はやってるけど、あのポンコツちゃんは未だに間違えてるし……それをたったの10分位でマスターするなんて流石マスター!」


「200年……」


 200年をやっていても間違えるテレちゃんって人はヤバイな。


「まあ、あのポンコツちゃんは良いとして、この別部屋は亜空間転移システムを使われてるんだけど、亜空間は無限に近い数があって、それをイメージだけで亜空間を繋げるのって、実は大変でマスターは無意識だけど、空間把握能力や座標認識能力、亜空間転移耐性能力、神性力探知能力とかいろいろな能力が関係するんだよ!」


「へ、へぇ……」


 何気に自分って凄い?


 でもただの社会人だった自分が何でそんな能力があるんだろ?


 なんか重大な事が抜けてる気がする……


 なんか大切な人に関わる人の記憶がごっそりと抜けたかの様な感覚?


「よし! じゃあ、次はクローン体を召喚してみて。あ、ちなみにこれから呼ぶクローン体には簡易的な認識能力があって、日常生活位は勝手に動けるけど、戦闘とか専門的な作業は全く出来ないんだけど、簡易的な認識能力があるから生物としてカウントされていてね、だから召喚になるんだけど、普通のクローン体ならマイルームにあるアイテム取り出しでも出せるから間違えないでね」


「り、了解……」


 簡易的な人格があるのに、それを操ろうとしているのにはちょっと抵抗がある。


「マスターの抵抗感は分かるけど、このクローン体はマスターの感覚で言えばAIが搭載されたアンドロイドみたいなものなんだよ。身体自体も少し改造されてるしね」


「なるほど……」


 それでも抵抗感があるのは仕方ないと割り切り、金髪美女に教わったやり方で自分のクローン体と呼ばれるものを召喚する。


「いでよ! アルファ!!」


 自分が叫ぶと、目の前の空間が湾曲し、真っ白な空間に漆黒の闇が現れる様に2m程の穴が現れ、そこからひとりの男性が現れる。


 その男性は、黒髪短髪の30代くらいの爽やかイケメンではあるが、どことなく前世の自分にも似ていた。


 前世の自分を美容整形してイケメンにした感じだろうか?


 身長も180cmはあり、脚も長く鍛えられた感じが服の上からでも分かる程に筋肉質でスタイルも良いイケメン。


 簡単に言えば理想的な将来像だろう。


「召喚ありがとうございます、マスター」

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