第10話 魔導力②
自分が白い霧と黒い霧を混ぜた瞬間、赤ん坊には耐えられない衝撃波が発生し、自分はベットの柵に吹き飛ばされた。
まあ、正確には寝ていたので転がりながら柵に叩きつけられたのが正しいが、転がってしまう程の衝撃波だった。
「ゲホッ、ゲホッ……」
やばい、一瞬だけど呼気が止まったぞ……。
「レイ! 大丈夫!?」
自分が柵に叩きつけられた数秒後、両手に超ゴツい武器を持ちながら部屋に入ってくる母親を見て、更にビビる。
「うちのレイを襲うなんて、100回は殺してやるわ!」
母親は敵襲があったと勘違いしたらしく、部屋には誰もいないと分かると、窓を開けて周りをキョロキョロする。
「おかしいわね……周囲には敵意はおろか人の気配すら無いわね……」
ごめんなさい、お母さん。
この衝撃波は自分がやりました……だから敵なんていません……。
というか、母親の両手に持っている武器にビビる。
母親の身長位ある長い棒に母親のウエストよりも太い金属製の球が付いていて、どこぞの世紀末世界の雑魚キャラが持っていそうなトゲトゲが付いていた。
なに、その怖い武器は……。
え、もしかして、この世界の武器ってあんな鈍器が主流なの?
剣や槍じゃなくて?
母親は主婦だよね?
元冒険者っぽいけど、あんな細腕であんなゴツい鈍器を軽々と持っているのに衝撃波より衝撃だった。
「え、レイ! 怪我してるじゃない!? すぐに治してあげるからね!」
母親は自分が柵まで飛ばされ、腕とかを強く打っている事に気が付き、すぐに回復魔法で治してくれた。
回復魔法って便利だな。
かなりの痛みだったから、最悪骨が折れてるんじゃないかと思うほどだったけど、あっという間に痛みが消えてしまった。
「レイ、大丈夫?」
「あぶっう……」
『大丈夫……』
あれ?
何だか急に眠けが……
「ちょ、レイ!?」
……
★
……またあの部屋だ。
例の金髪美女が居た応接室風の部屋だ。
しかも、身体はやっぱり大人の状態だ。
目の前のソファには誰もいない……と思ったが、瞬きをした次の瞬間、目の前のソファにはあの金髪美女が座っていた。
『またここに呼んでしまい、申し訳ありません。本来なら、こんなに短い間隔で呼ぶ事は無いのですが、想定外の事が起きたので、緊急でこちらに呼ばせてもらいました』
『え、緊急事態なんですか?』
それに何か話し方が前回と違ってぎこちないな……気のせいか?
『緊急事態という訳ではないですが……レイが一瞬ではありますが、真の【魔導力】を解放してしまったので、私が大丈夫というまでは真の【魔導力】の使用は控えて欲しくて呼びました』
『真の【魔導力】? あの白い霧や黒い霧の事ですか?』
『あ、はい。正確には黒い霧を【邪力】、白い霧を【天力】と言い、【邪力】と【天力】と【神力】を合わせたのが真の【魔導力】になります』
『あれが真の【魔導力】なんだ……なんで衝撃波が発生したのですか?』
『あれはレイが制御に失敗……というよりは【神力操作】というスキルが無いと真の【魔導力】の制御はかなり難しいので、衝撃波が発生するところにすらいかない筈なんですが、何故かレイは一瞬ですが成功してしまったので、今後は試さないで下さいと言いたかったのです』
『【邪力】と【天力】というのを混ぜたら【マナゲート】が出来そうな気がしたんですが……勘違いだったんですかね? って、【マナゲート】のやり方が全然分からないんですが?』
『……それなんですが、正しいやり方を教えます』
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