第5話 金髪美女

 自分は気が付いたら、馴染みのある応接室のソファに座っていた。


 いや、よく考えたら馴染みがある以前に、見覚えの無い部屋だ。


 部屋を見渡すと、高そうな木の机にフカフカのソファ、飾り気の少ない内装ではあるが、上品さが伝わってくる。


 この部屋にあるものは、全てが1級品だというのがすぐに分かった。


 ……しかし、自分は何故見知らぬ応接室にいるんだ?


 しかも、自分は異世界に転生し、赤ん坊になっていた筈なのに、大人の身体になってるぞ?


 部屋に鏡があったので、鏡を覗いてみると、そこには見た事のない美青年が立っていた。


 あれ?


 よく見ると……若い頃の自分を超美形にしたら……それにしても盛り過ぎな位に整ってる。


 ……ああ、異世界に転生したのは夢だったのかな?


 それとも、これも夢?


『夢であり、夢ではないですよ、レイ』


『え?』


 さっきまでは確実に居なかった筈の正面のソファに、長い金髪の美女が座っていた。


 いつの間に?


 いや、その前に目の前の金髪美女には背中から見えるプラチナの様にキラキラした羽根が生えていた。


『天使?』


 そう、何故か目の前の美女を見た瞬間、天使というワードが浮かび、そして……嬉しさ、懐かしさ、恋しさなど、様々な感情が溢れ出て来てしまい、泣きだしてしまった。


『あれ……なんで僕は涙を……?』


『レイ……私も泣くのを我慢していたのに……先に泣くのは……反則です……だけど、私の記憶は無いはずなのに魂が記憶していてくれて嬉しいです』


『……魂が記憶?』


『はい。詳しく説明したいのですが、この空間にレイの魂を長時間連れてくるのは危険なので、今回は要件だけ伝えます』


『あ、はい』


 魂だ記憶だなんだという話を詳しく聞きたかったけど、目の前の美女の真剣な眼差しを見ると、素直に従おうと思った。


『まず、レイは【魔導操作】を使い、【マナゲート】というスキルを取得して下さい。【マナゲート】は多次元干渉系スキルなので、普通なら使えませんがレイならば出来るはずです』


『え? 【マナゲート】って、なんですか? それにコツとかは無いのですか?』


 いきなり【マナゲート】という知らないスキルを取得して下さいと言われても無理がある。


 せめてコツなどは知りたい。


『えっと、【マナゲート】は【ストレージ】の多次元干渉版です』


『……【ストレージ】……アイテムボックスみたいなものですか?』


『ああ、そんな感じのスキルです。コツは……ぐっと固定して、ガッと空間を開いて、アイテムを取り出すだけです』


『あ、分かりました。それで【マナゲート】を使える様になったら?』


 この美女は感覚派なんだなと瞬時に悟り、説明を聞くのを諦めた。


『はい、【マナゲート】にはレイのクローン体が3体ありますので、それを操り……とある少女達を助けて欲しいのです』


 それから自分は美女からとある少女達のいる町の名前と方角などを聞いたタイミングで意識が遠のいていった……。





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 名前・レイ(0歳)

 状態・良好

 属性・※※※

 職種・ジョブホッパー

 種族・※※※


 パッシブ・素材の極み、魔導の極み

      転職の極み


 アクティブ・魔導操作、真素探知


 固有スキル・ジョブホッパー

       


 ーーーーーーーーーーーーー




 ★


『久しぶりに会えたレイは、どうでした?』


『相変わらずでしたが……私を認識してくれていて嬉しかったです。セフィーリア様はいつもこんな感じだったのですね』


『ふふ、私の場合は更に記憶が残りませんから、悲しかったですよ。その点では今回のレイには、ここでの記憶が引き継がれるのでアナタが羨ましいです』




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