第36話 強姦

――――加賀山アクリル工業の買収前のこと。


「はい、これ」

「ああ、ありがとう」


 星乃が俺たちに蓮の実家を調べた資料を俺、課長、姫野の3人で見ていた。


 ふ~ん、非常に透明度が高く、高強度。そしてクリスタルのように美しいアクリル……【アクリスタル】ね。


 アマレビュでも星4.1~4.5の製品が多く概ね好評とでている。


 星乃からもらったら会社のパンフレットや社員募集の案内、製品情報などを見るに蓮から想像できないくらいちゃんとした会社っぽい。


 ただし姫野クラスの資産家を見てるだけに感覚がおかしくなってしまっているのかもしれないが、蓮の実家は、蓮自身が勝ち誇るほど大きくはない。


 さすがに個人経営ではないが、工場の写真を見るとそこはかとなく町工場的雰囲気をかもし出ている。


 パンフレットと取り寄せた製品を眺めている姫野は感心していた。


「へ~、あの男の実家なのに真面目な仕事してそうですね」

「確かに……だが技術偏重な面もあるようだ」

「ええ、このところたいへんらしいわね」


 姫野のお父さんの紹介やうちの会社がお世話になってる信用調査会社の資料を取り寄せ見ていると星乃の言う通りだった。


「流行病におけるアクリル製の衝立ついたてが好調だったため、増産体制に入っていたが、収束宣言により過剰な設備投資がたたり、体力が弱っている……か」


 姫野はスマホでGoogleマップのチェックしながら、辛辣しんらつな言葉を言い放つ。


「そこにあの男がトドメを刺すようなことをしでかしたんですよね。もうバカと言うしかありません」

「まったくだ……。私も危うく奴に巻き込まれるところだったぞ。蓮のような愚息を持つ親もたいへんだろうな」


 課長も続いて深いため息を吐いていた。


 親ガチャならぬ、子ガチャ失敗か……。


 いまなら蓮の実家である加賀山アクリル工業を配信収益で十分買収できる!


 星乃によると蓮がたびたび実家に金をせびりに行っていることはわかっていた。ならその金づるを断てば……訴訟を起こそうにも資金が続かないと踏んだのだ。


 俺は課長と姫野がエアガンで“きらら枠“してることで買収を思いつく。超有名な実銃メーカーのワルサー社は経営状況の悪化により、ウマレックスというおもちゃの鉄砲を造る会社に買収されていたのだ。


「でもせんぱい、大丈夫ですか? いくらあの男をつぶすためでも、そんな会社買っちゃって……。もちろん、なにかあればお父さんにお願いしてせんぱいを助けるつもりですけどぉ……」


「ありがとう、姫野。だけどそれには及ばない。俺もただ蓮をつぶすためだけに買収するつもりはないからね」


「えっ、そこまで考えてらしたんですか!? ああん、さすが私の旦那さまに相応しいせんぱいですぅ」


 姫野が俺の手を両手で握って、かわいい笑顔を見せる。


 だが……。


「いたい、いたいっ、いたいですぅぅ!」


 課長は姫野の額をがっしり掴み、星乃は姫野を羽交い締めにしていた。


「姫野……勘違いがすぎるぞ。寝言は寝て言え」

「そうね、姫野お嬢さまでも結月くんは譲れない」


 なんかこっちの方が訴訟に発展しそうな気がしたが、いまは買収の話を進めることにした。



 翌日、会社のエレベーターに第一営業部らしき社員たちと乗り合わせると彼らは口々に蓮のうわさ話をしていた。


 ――――加賀山の奴……出向になったらしいな。


 ――――くそっ、首の皮一枚でつながったのか!


 ――――いや、体のいい首切りだよ。


 ――――いまは追い出し部屋はできねえからな。


 ――――とある損保の真似してみたんだとよ。


 年長者が「俺たちも出向を命じらんないようしっかり働かねえとな」と呟き、周りもそれに同意する。エリートであるはずの彼らは肝を冷やしたように自分たちのフロアで降りていった。


 蓮は出向先で追い出されたら、なにをして暮らしていくつもりなんだろうな? せいぜい、残りの人生頑張ってもらいたいもんだ、くっくっくっ……。



――――さらに翌日。


 年休を取り、加賀山アクリル工業に行く途中見た路地裏……。


「やめてくださいっ!」

「ああ? おまえん、アダルトグッズつくってんだろ? だったら、おまえもさぞかしビッチなんだろぉぉ、ああん?」


 ミディアムショート、前髪を留めるキラリと輝く特徴的なヘアピン、目鼻立ちの通ったこれぞ学園のアイドル、美少女のかがみって感じの子がスクールバッグを胸元に抱えて、迫る男子生徒から後ずさりしていた。


「ちがいます! お父さんの会社はそんなの作ってません」


 ひとりのブレザーを着崩した生徒が制服美少女のカバンのファスナーを開けようとする。


「カバンの中にローターとか入ってんだろ、げひひひ……」

「真面目そうな顔して、夜な夜なひとりでしてんだろ? んなおもちゃなんかじゃなくて、俺らがなぐさめてやっからよぉ!」


 男子生徒はスマホの画面を美少女に見せる。美少女は否定するように左右に首を振るが、野球部っぽい感じの男子生徒は異論は認めないといった感じで性欲を露わにした言葉を吐いた。


「いまから隠れビッチJKの輪姦タ~イム!!!」


 ズボンのボタンを外し、ファスナーを下ろした坊主頭。


 パシャッ!


 他の男子生徒立ちがJKの腕を取り、腰に手を回そうとした瞬間、俺はあえてスマホのカメラの音を鳴らして痴漢しようとした場面を捉えた。


 すると俺の方を向いて、にらんでくる。


「なに撮ってやがんだ、このおっさんがよぉ!」

「やっちまえ!」


 いきなり問答無用って感じで襲いかかってきたので、不良か、痴漢か、どっちか分かんねえ先頭の生徒に、自然派な俺はバイオBB弾を目潰し替わりに投げつけ足を払うと、後ろの奴らは転んだ生徒に足を取られて連鎖的に転んでゆく。


「どけよ!」

「おまえこそどけよ」

「重いぃぃ……」


 折り重なって転んだ生徒たちは身動きが取れず、絡まってる間に彼らの手足を結束バンドで縛って拘束しておいた。


「キミたちに選択肢を与えてやる。警察に突き出されるか、ズボンを下ろして、おしりを突き出したまま犯してくださいと書かれるか、どっちがいい?」


 3人は顔を見合わせ、答えた。


「「「け、警察で……」」」



 お望み通り彼らを警察に証拠写真とともに突き出しておいた。


 はあ~やれやれ、サバゲの先輩に定例会ってだまされて連れて行かれたクラヴ・マガやらシステマのセミナーがこんなところで役立つなんてなぁ……。


「良かったなぁ、おしりの貞操が守れて」


 すっかり大人しくなりパトカーに乗せられる生徒たちに手を振り、見送りの言葉をかけていると美少女JKが俺のそばによってきた。彼女は俺に深々と頭を下げて、お礼の言葉を告げる。


「危ないところをどうもありがとうございました! 私、加賀山瑠華るかっていいます。あのあなたのお名前は……?」


 加賀山っ!?


 こんな天使みたいに素直でかわいい子がまさか……。


「俺は結月麟太郎って言うんだ。もしかして、加賀山アクリル工業の関係者?」

「はい! 父の会社です!」


 危ないところだった。あいつの家族まで俺の復讐に巻き込んでしまうところだったのだから。


―――――――――――――――――――――――

カドカワは諦めた、また書けばいいんだしw そんな尖ってる作者にどこかいい就職応募先はないでしょうか? 


まずは“下ネタ“の赤城大空あかぎひろたか(ドラゴンタニシ)先生が活躍されてるガガガ文庫の小学館ライトノベル大賞に出してみようと思います。他にも尖ったレーベルをご存じな方がいらっしゃいましたら、お教えください。


ピタゴラざまぁされる蓮と美玖www もう遅いできるよう完結まで頑張るんでフォロー、ご評価お願いいたしますw

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