第35話 訴えてやる!

――――【蓮目線】


「オレはなんもやってねえ! むしろ被害者だ」

「う~ん、そうは言われましてもねえ、困るんですよ。公園に夜な夜な現れて、わいせつ行為をされては……」


 オレは警察に捕まり、警察署で取り調べを受けてしまっている。黒木沢はあろうことか、本能のまま暴れてる最中に警察の巡回が来て、奴はそれこそクマみてえな速さで逃げやがった。


 刑事の野郎は胸ポケットに差しボールペンを取り、こめかみをかきながら、結月に撃たれた忌まわしい過去をほじくり返してくる。


「それにあなた……前も裸で歩きまわってましたよね? 露出狂であることを隠しても、言い逃れはできませんよ」


「オレは裸で出歩く趣味はねえーんだよ。それよりも弁護士を呼べよ! もうこれ以上おまえらと話す価値もねーわ!」


 オレは弁護士が来るまでだんまりを決めこんでおり、それから1時間ほどしてオヤジの会社の顧問弁護士が話をつける。


「かーーーっ! やっぱ娑婆しゃばの空気はうめえぜ!」

「加賀山さん……あまり無茶はしないでくださりますか?」

「オレは被害者だっつーの!」


 不快でしかなかった取り調べ室からようやく解放され、自由の空気を吸うと途端に女とやりたくなった。


 深夜に呼び出した弁護士が愚痴をこぼしていたが無視してオレは帰宅し、すぐに美玖に連絡を入れたが一向に既読がつかず、ムカついたのでふて寝する。



 翌朝、出社すると第一営業部の部長から、とある申し出を受けていた。


「加賀山くんには主任待遇で介護事業の子会社へ出向をお願いしたい。1年後にはキミには係長になることを約束しよう。そして5年経てば本社に戻す。ただし、枕営業は我が社の関与はなく、キミ個人の単なる浮気として処理するんだ。それでどうかね?」


 ふっ、ようやくこのチンケな会社もオレの実力を認めやがった!!!


 オレは顧問弁護士を使い、黒木沢にぜんぶ罪をなすりつけ、そしてオヤジに慰謝料を出させれば、オレの地位は安泰!


「ああ、それなら構わねえ、やってやるよ」


 おっさん部長とオレは握手し手打ちしていた。



 圧倒的勝利を手に帰宅すると、連絡の取れなかった美玖が玄関ドアの前に座りこんでいたが、オレの姿を見るなり、ガバッと抱きついてきていた。


「蓮く~ん……麟太郎にフラれちゃったよぉ……」


 ちっ……。結月の野郎、気づいて美玖を切りやがったか。


 フラれたと聞いた途端に美玖の女としての価値が大暴落したように感じる。結月から寝取ってやったという優越感がなくなっちまったんだからなぁ。


「そうかかわいそうに……オレが美玖の面倒を見てやるよ。まあ、中に入れ」


 オナホ程度に使って、ヤリ飽きたら捨ててやる。


「蓮くんっ、聞いて! 私たち麟太郎に盗撮されていたの!!! 酷いことされてたんだよ、私たちがえっちしてる動画がネットに流されたんだよっ!」

「な、なんだと!?」


 オレは美玖が差し出したスマホの画面を見てマジひびった。


「なっ、なっ、なっ!!! くそったれがぁぁーーーーーーーーーーっ!!!」


 オレはまんまと結月の罠にはめられてしまっていたと知り、猛烈な怒りがこみ上げてくる。


「美玖安心しなよ……オレはおまえをフった結月にきちんと動画を盗撮して流した代償を払わせてやる。オレと結月の男の格の違いを見せてやっから」

「うん……蓮くん頼もしい」


 くっくっくっ……結月の野郎、オレたちにリベンジポルノみてえなことを仕掛けやがったつもりかもしれねえが、こいつをネタに肖像権侵害で訴えて金をふんだくってやりゃー、枕営業の慰謝料をぜんぶチャラにできる。



 それから美玖を部屋に住まわせ、出向まで休みがあったので結月を訴えるための奴が運営していると思しきチャンネルを漁っていたのだが……。


「う、うわぁぁぁぁ……、オレの性癖がすべてバラされてやがる……」


 ま、まさか、会社の女どもはオレの格好良さに恥ずかしがってたんじゃなくて、避けられてたっていうのか!?


 くそっ、くそっ、くそっ!!!


 結月め! てめえにはぜってー多額の慰謝料払わせてやっからな!!!


 1000万とかちゃちな額じゃねえ、1億くれえ払わせてやるっ!!!


 オレは怒りが収まらず、顧問弁護士に連絡したのだが……。


 ――――おかけになった電話番号は現在使われておりません。番号をお確かめになって、もう一度おかけ直しください。


 何度やっても、同じアナウンスが流れてくる。

 

「美玖、ちっと実家に顔出してくらぁ!」

「うん! 私をフッた上に親戚の前で大恥かかせてくれた麟太郎をちゃんと分からせてやってよ! もう借金まみれにしちゃっていいから」



――――加賀山アクリル工業。


「ぼっちゃん! いま社長……いえ加賀山さんはお話中なんですから!」

「ああ? オレはこの会社で社長の次に偉いんだよ! おまえは黙ってろ」


 社員がオレを止めようしてくるが、構わずいずれオレの城となる会社の社長室のドアを開けていた。


 だがそこには……。


「オヤジ! あの役立たずの弁護士をやめさせ……――――なんでおまえがここにいるんだよっ!!」

「蓮っ! 結月さん……いや結月社長は私たちの恩人、その人になんて口を聞くんだ。訂正しなさい」 


 結月は驚くオレをにやけ面で見ており、オヤジはなぜか意味不明なことを言っている。


「オ、オヤジ、なに言ってんだよ、仕事のしすぎで頭おかしくなっちまったのかよ?」

「蓮、キミのお父さんは至って正常だ。むしろおかしいのは蓮の方だろ?」


 結月はソファーから立ち上がるとオレの肩に触れて、余裕ぶった笑みを浮かべていた。


「おまえみたいな盗撮野郎は許さねえ、訴えてやる!」


 オレが結月の胸ぐらを掴もうとすると、ドンと体当たりされてオレはよろけた。


 体当たりしてきたのは、オレの妹だった……。


「結月さんはあなたみたいなド屑なんかじゃない! あなたのせいで傾いたうちに9億円近いお金を出してくれたんだからっ!」

「瑠華!? おまえ、なにを血迷って結月なんかと腕組んでんだよ……」


 JKになり、オレ好みの女になってきた妹の瑠華は結月とくっついて、まるで奴の女になったかのように頼りきっているみたいだった。


「瑠華ちゃん、人前でくっついたらダメだって」

「いいえ、結月さんになら処女を……きゃっ、なに言ってるんだろ、私」


 瑠華が、なにを言ってるのかはっきり聞き取れねえが、いちゃいちゃバカップルじみてやがる。


 まさか……結月の野郎、オレに美玖を寝取られた腹いせにオレの妹を寝取りやがっていうのかよっ!!!


 チキショォォォォォォォォーーー!!!


「許さねえぞっ! 結月ィィィィーーー!」


 オレは怒りのあまり結月に向かって殴りつけようとしていた。


 結月程度ならオレが殴ってボコって情けない姿を晒してやれば、瑠華も考えを改めるに違いねえ!


―――――――――――――――――――――――

フラグ立てまくりの蓮くんwww

蓮の出向先の元ネタは実際にとある損保でげふんげふん……。


本当にたくさん読んでいただき、またフォロー、ご評価、コメントの多大なるご支援、誠にありがとうございます。


カクヨムの運営さまから床に水溜まりができるくらい監視視姦されてますが、カドカワ系のレーベルの編集さまからは賢者タイムなのかってくらいガン無視放置プレイされてる作者ですw


のけものはいないんじゃなかったの?(・_・、)


賢者気取りの方々のおしりに○子注入棒……おっと“ん“が抜けてたw 精神注入棒代わりにフォロー、ご評価で本作の面白さをねじ込んで分からせてあげるお力をなにとぞお貸しください。

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