第51.5話 ガーゴイルの遺跡
ウインクが先導しラスターの形跡をたどりながら森の奥に移動するとガーゴイルの集落に到着。
その部分だけ森が開け遺跡らしい建築物があり、中央に高さ20メートル位の立派な石作りの三角型の建物が要塞のように稼働しているのがわかる。
遺跡には人が使っていたかのようなサイズの監視塔も見えるが、ガーゴイルは屋根の上で監視をしていて、周囲に石壁のような物はなく木製の柵が張り巡らされていた。
木柵は雑な作りではあるが、人間や獣程度であれば進入を阻止する位の役目は果たせる感じである。
先行して茂みの中で待機中のラスターと無事に合流し、二匹にご褒美のビーフジャーキーをあげると一口で食べていたが、視線はずっとガーゴイルの方に向けられていた。
前回の戦闘のようにラスター達に先行してもらって簡単に倒して行けば良いかなと思っていた所でイリスに止められる。
「ちと待つのじゃ、ヴェノムガーゴイルとアシッドガーゴイルがいるの」
「強いのか?」
「ブレス攻撃がやっかいじゃの、ヴェノムガーゴイルのブレスは毒攻撃じゃがレジスト出来ないと生き物は毒で侵され腐り果てる、アシッドガーゴイルのブレスは強力な酸であらゆる物を溶かすのじゃ」
なりふり構わず突っ込んで危ない目に遭うところだった。
「まぁ妾が居れば大丈夫じゃ、妾の眠りを妨げる愚か者は始末するのじゃ」
お前はやっぱり呪われたピラミッドのミイラかよと思ったが気にしない。
イリスは魔法を発動し俺達に守りの魔法をかける。
「守りの守護者達よ、仲間達に全ての守りを
「イリス、なんだか周りが暖かい感じがするよ」
サクラは変化に気が付くが、光るとかビジュアルモーションがかかると思ったけど、見た感じの変化は無い。
「イリス、本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃ妾を信じるのじゃ、効果切れの時はスーっと何かが抜ける感じがするでの気を付けるのじゃ」
たぶんわからん。
俺が頭を傾げていると。
「効果が切れたら妾が叫ぶから気が付くのじゃ」
結構曖昧だな、大丈夫か?
準備が出来た所で合図するとラスターとウインクが突入する。
監視塔に止まっていた奴は、ラスターとウインクが素早く駆け上がって行って、瞬殺。
「さすがインベイドウルフじゃの自己隠蔽のレベルがハンパ無いの」
「二匹はあいつらには見えてないって事なのか?」
「完全不可視とは違うからの、実際は見えているはずじゃが認識できないのじゃ」
「トリックアートみたいに別の物に見えているって事か?」
「なんじゃそれは?」
とりあえず意味がわからないが正しく認識出来ていないって事かもしれない。
二匹の様子を見ながら突入のチャンスを伺う。
ガーゴイル達が異変に気が付く頃には十数体のガーゴイルを倒す事に成功。
遺跡の異変に気が付いたガーゴイルが飛び出してくるが、意識がラスターとウインクに向かっている間に、木製の門を金属バットで破壊し侵入を試みる。
さすが攻撃力1000×2、バットで扉を叩くと、叩いた分が粉砕していく。
大きな扉の木材がおがくずのように吹っ飛んでいきすぐに人が通れそうな穴があく。
広場の中心付近ではラスター達が戦闘中。
実力差がありすぎてガーゴイル達は下手に近づこうとせず遠距離から槍を投げたり投石をしたりしているが、全く攻撃は当たらない。
中心の遺跡の窓から状況を見ている者や出撃準備中と言った状態で、中心の建物からはおぞましい気配さえ感じた。
そして中心部の建物までかけより出入り口に向けて火炎放射開始。
中の事なんか知った事は無い!
すかさず放射全開だ、今回は燃料タンク追加だ!
ガス化した燃料が上品に炎を噴射するのではなく、ガス化しない燃料がそのままの状態で飛んで行く下品でヤバイ方だ。
出し惜しみしないでいきなり全開で行く。
ノズルから出た燃料が辺り一面に付着し、着火すると真っ赤に燃え広がりゴウゴウと燃えさかる。
燃料は灯油のはずなのに、絶対に灯油の炎ではない。
ガソリンだってこんな燃え方はしないぞと内心思いながら放射機のトリガーを引き続ける。
遺跡の中に流れ込んだ燃料は遺跡の内部で着火しあれよあれよと言う間に黒煙を上げて遺跡は燃える。
オーク集落を燃やした時点で気が付いていたが、燃料タンク容量に対して排出量が絶対に物理法則を無視している。
オーク集落の時は疑問に感じつつ燃やしたけど燃料切れはかなり遅くやってきて、突然燃料切れ。
使えばなくなる事は同じ。
不思議だが気にしない。
ガンアクション映画の弾切れにならない鉄砲な感じ。
忘れた頃にリロードしているみたいな。
そんなわけで今回は追加タンクがあるのでおかまいなしに火炎放射継続。
燃えさかる遺跡の中から炎に包まれたガーゴイルが飛び出してくるが、外に出た瞬間に絶命、アイテム化。
ヴェノムガーゴイルが黒焦げのボロボロになりながら紫色の毒ブレスを噴射したが、その方向に向かって火炎放射をしたら毒ブレスと一緒に燃えた。
燃えさかる遺跡、上部の窓からワラワラと黒焦げヴェノムが出てくるが、構わず斜め上方向に向かい火炎放射。
上方向噴射は怖い。
風向きで自分の方に戻ってくる時があるぞ。
時々ヴェノムの毒が俺に付着していたが、イリスの魔法レジスト効果なのか何ともならない。
少し距離を置いて出てきたアシッドブレスガーゴイルはサクラの狙撃で即死。
ブレスを吐く間も無かった。
遺跡の高所窓から羽が焼け焦げ、飛べないガーゴイルがワラワラと出てくるが、サクラは銃撃でイリスは魔法攻撃と遠距離攻撃で倒し続ける。
飛べないアシッドやヴェノムの攻撃が飛んで来る事もあるが、イリスの魔法で全てレジスト。
ヴェノムガーゴイルは噴霧タイプ、短距離で広くを毒汚染させる。
アシッドガーゴイルは直線タイプ、遠距離で狙って酸を浴びせる。
ブレス攻撃なので実際は飛んでいる状態で上方からの攻撃が前提なのか、排出量は少なく威力はそんなに強く無い。
なので地上からの攻撃では射程が案外短い。
それでもアシッドガーゴイルの酸攻撃は強力で、付着した物はレジストされるが、周囲に飛び散った酸は激しく煙を出しながら石壁を簡単に溶かし僅かな量でも大穴が開く恐ろしい物だ。
イリスのレジスト魔法に感謝。
さらに惨劇は続く。
遺跡内の何かに着火したのか、遺跡の窓という窓から炎が噴き出し、逃げ場を失ったガーゴイル達の悲鳴が聞こえる。
スモークガーゴイルかカーボンガーゴイルの完成。
ボーンと爆発音がすると遺跡の上部一部が吹っ飛びアイテムが空中を舞う、吹っ飛んだ遺跡の残骸の中から一際大きいガーゴイルが姿を現したのだ。
大きさは他のガーゴイルの4~5倍以上あり魔物の頭蓋骨で作ったネックレス、何かの毛皮のジャケットに王冠のような物を被り、ギョロッとした赤目がこちらを睨んでいた。
こんなのが夜の窓に映っていたら怖くて深夜便所に行けなくなりそうな凶悪な表情。
「この森でレイジ・ガーゴイルキングとは珍しいのぉ、すでにボロボロじゃ酷いの、あやつは全耐性があったはずじゃがシオンの使うあの炎は違うのかの……」
後の方でイリスが呟いていたが、あまり関係無さそうなので無視。
「愚かな人間ども! 手順を無視しおって! 冒険者なら遺跡内部を探索してから玉座のワシと対決するのがスジであろう!!」
すごく怒っているし意味不明な言葉を叫ぶガーゴイル親玉だが、そんな事情は知らないとサクラがHK415のフルオートで連射攻撃。
サクラの攻撃を防ごうと手をかざしたガーゴイル親玉、サクラの攻撃はかざした手をあっさり貫通しヘッドショットで頭部粉砕。
体力値が大きいのか若干グロシーン。
それでも死なないので、火炎放射機攻撃をすると続くようにイリスが魔法を放つ。
イリスの風魔法攻撃で火炎放射機の炎が強化されてガーゴイル親玉は真っ白な炎に包まれるとガーゴイル親玉は塔からが落っこちてその衝撃でアイテム化する。
残ったガーゴイルは逃げるのかと思ったけど、そのまま突っ込んできたので三人と二匹の攻撃が続くが、やがて周囲から気配が消えた。
「ウォン!」
ラスターの警戒が解けウインクの表情も可愛い状態に変化すると、戦いの終わりを告げる合図となり、ガーゴイル遺跡は壊滅全滅した。
・・・・
「お主らの攻撃力は反則じゃの……でも妾のレジスト魔法がなければお主は今頃焼け死んでいたかもしれんぞ」
敵との距離が近距離で火炎放射したときに炎とは関係ない場所まで放射熱で発火していたのを見てヤベーと思ったよ。
「ありがとなイリス、助かったよ」
「そうじゃ、褒めるのだ。そして妾に飯を食わせるのじゃ!」
今日は腹ぺこエルフのおかげで助かったようだな、感謝しよう。
その後は大量のドロップ品を回収、ドロップアイテムは火炎放射でも燃えない事が判明したが、遺跡の中にあった宝箱は全焼し金貨だった物が金塊になっていた。
宝石類は残っていた物を回収する。
あとは燃え残ったアイテム類などを拾って家に帰る事にしたのだった。
大金貨 500枚
小金貨 200枚
大銀貨 2500枚
魔核(B) 91
魔核(C) 250
レイジ・ガーゴイルキングのツノ 1
ヴェノムガーゴイルのツノ 30
アシッドガーゴイルのツノ 30
アークガーゴイルのツノ 30
ガーゴイルのツノ 250
レイジ・ガーゴイルキングの牙 1
アシッドガーゴイルの牙 10
ヴェノムガーゴイルの牙 15
アークガーゴイルの牙 15
ガーゴイルの牙 150
アシッドガーゴイルの羽 20
アークガーゴイルのツノ 15
アークガーゴイルの羽 15
ガーゴイルの羽 100
Sランクフルポーション 30
Aランク回復・治癒ポーション 各600
毒消しポーション 50
酸耐性の護符(B) 50
ルビー(A) 200
サファイア(A)200
溶けた金塊(中) 20
焼け焦げた宝石類沢山
怒りの杖 1
怒りの剣 1
凄い事になった。
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