第55.01話 泥棒と盗賊の違い

 はじめに

 このエピソードも話が纏まりませんでした。

 公開しないと後々の話に響いてしまうので、55.01話と55.02話は作者が納得出来ない状態で公開します。作中いつも以上に変な場所がありますが、申し訳ありません、書き換えや変更のアイディアが浮かびませんでした。


追記 2023/10/08 タイトルを 泥棒と盗賊から 泥棒と盗賊の違い に変更

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 俺とサクラが住んでいた日本は大事件とは無縁の場所。

 畑の作物が盗まれたとか、道に犬のウ○コが放置されていたとか、悪い事をするヤツがいるなぁレベルで交通事故すらない。


 家の戸締まりをしない地域だ。


 畑の作物を盗んだヤツが捕まった時は滅多に現われない泥棒だったのでパトカーまで出動して凄い事になっていたが、当の泥棒は「畑に野菜は沢山あるから少しくらい平気だと思った」とか罪の意識は全くなくふざけた事を言っていたらしい。


 農家のオッチャンは怒り狂って畑に埋めてやるから覚悟しろとか本当にやりそうだったので警察官が優しくなだめて居たとか。


 東京大都会二十四時みたいなTV番組では酔っ払いが殴り合いの喧嘩をして警察官に取り押さえられるシーンみたいなのがあるが、殴り合いの喧嘩なんて無縁の地域だった。


 リビングで急にこんな話が始まった。


「お兄ちゃんってあんまり喧嘩としかしないよね」

「何だよ急に、俺は温厚派だから争い事は好まないな」


 何を言っておるのじゃ? と言った感じで動画サイトの自然番組を見ていたイリスがこっちを見ている。


「まぁゴブリンとかオークが襲って来たら戦うよ、あんなのにやられたくは無いからな」

「喧嘩とは違うから戦えるって事なの?」

「日本に居た頃は生き物を殴り殺すとかはやったことが無かったけど、ゴブリンやオークから一方的に攻撃を受けているうちに色々慣れたのもあるよな」


 この世界に来て最初の頃に戸惑ったのは確かだ。

 最初の投石は追い払う目的で投石をしていた。

 投石でゴブリンが死んでしまった事に気が付いたのは少し後の話になる。


 日本で野犬などに襲われれば逃げるし、逃げ切れない場合は威嚇や戦うなりの抵抗はするだろう。

 俺やサクラの住んで居た日本は普通に野犬とか出た田舎だし。


 無抵抗で咬まれるとかはまずない。


 これがゴブリンになると話が変わる、死んでしまったゴブリンが死体として残らずアイテム化する事で生き物を殺す事に対する認識がかなり薄く、魔獣は悪で何体倒そうと全滅するまで襲って来る事がわかり感覚が完全に麻痺する。


「魔獣を倒す事は俺とサクラが生き残る為の方法なら、俺は魔獣を倒すよ」


 イリスがその話を興味深く聞いていると、やがて口を開いた。


「お主達は盗賊に遭遇した事はないのかの?」

「今の所無いかな、人となら街やローレンスタインの館で絡まれて一方的なトラブルに巻き込まれた事ならあるけど」


 さっきの喧嘩の話に戻る訳か、盗賊は無縁だったな。


「シオンとサクラに伝えておく事があるのじゃ、この際だからテッサも話に混ざるのじゃ」


 イリスは厨房にいたテッサさんへ声をかけると、一緒に参加するようと声をかける。


「シオンとサクラはマーキュリー領内の盗賊について良く知らんようじゃな、良い機会じゃからお主達の知っている盗賊について話してみるのじゃ」


「会った事は無いからな、俺の知っている知識なら泥棒みたいな犯罪に手を染めた人の事を言うのだろ? 街道で荷馬車を襲ったりして金品を奪うとかさ」

「概ね合っているかの、だが盗賊の扱いがどうなっているまではわかるかの?」

「警備兵が捕まえたりするとかだろ、あとは冒険者が捕縛したりさ」


「シオン様、その認識は少し違いますので説明させて頂きます」


 犯罪者を捕まえて牢屋にブチ込み、裁判等で刑が確定して服役させる、そんな流れが普通なのでは無いかと思った。


「盗賊の場合はほとんどの場合討伐となります、盗賊でも重要クラスと認定された場合のみ捕縛のクエストが発行されるのです」


「いきなり討伐って事は殺すって事なのか?」


「そうじゃな、盗賊にも色々ランクや種類があるので全ての盗賊が討伐対象では無いのじゃが、基本盗賊と呼ばれる奴等は生死関係無しに討伐対象となるのじゃ」


「なんか難しい事を言うんだな」


「正確には盗みを働き、その盗みをするために人を殺した者は盗賊とされますので、盗みだけをした人は泥棒となるのです」


「でも街の人からすれば全て盗賊とひとくくりされておるのじゃ」


「暴力を使い殺しはせずとも金品を巻き上げる人も居ますが、このような場合も盗賊にはなりません」


「人を殺して金品を奪った人間は盗賊って事、あとはそれ以外の犯罪者と考えれば良いのかな?」

「簡単にはそうなります」


 殺人を平気で行う高ランク犯罪者が盗賊と言われる奴等の称号。

 人殺しのキーワードが出てきた事で話が段々と重くなって来る感じがする。


「簡単にはそうなります」と言っていたテッサさん、盗賊と泥棒の違いについて凄く細かく説明してくれたのだが、最後に強調するように”盗賊は討伐対象”と普通の事のように淡々と話をしていた。


 盗賊の存在がある以上、平和な日本に住んで居る頃は考えた事も無い、事件や犯罪に巻き込まれる可能性がある事だ。


 魔獣討伐とは違う盗賊討伐が俺とサクラにどう関係してくるのか、この時はまだ正しく考える事が出来なかった。


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