第16話 オーマイガッ!

金貨と宝石を日本に送って数日が経過しいつものように夕食での報告会がスタートすると、開口一番に母さんが発狂していた。


パソコン画面越しに見る母さんが母さんじゃないみたいになっていて、普段そわそわしない父さんもなんか目が踊っている。


「どうしたの母さん…なんか変だよ?」

『シ、シオン、これどうしたの!どこにあるの!もっといっぱいあるの?!』

この状況から見ても、金貨や宝石類が凄い値段になったのが容易に想像出来る。


「母さん落ちついてよ、宝石はたまたま見つけた物で大きい物を選んで送っただけだよ、あと金貨はいつものように魔獣を倒したら手に入れた物だから沢山は無いよ」


と軽く誤魔化しておく。


『そっそうなのね…いっぱいあれば、もう働く必要も無いとおもったのに』


まぁタイミングを見て換金の為に渡す予定だけど、現金化したら両親が好きに使って貰っても良いと思う。


ただ長期旅行とか行かれると困るけど。

一応ライフラインだからね。


さて気になるお値段だ。

金貨は1枚辺り日本円で3万円、重さが20グラムあり50%程の割合で金が含まれているそうだ。純金のようにきちんと作られた物ではないので比較的安くなるとの事だが、それでも3万円だ。

この前の宝箱から2500枚手に入れたので 7500万円か


オーマイガッ!


次は宝石類、サクラがいっていたようにルビー・サファイア・エメラルドとあとはアメジストだったみたい。他にも何点かあったけど他はただの綺麗な石でそれほど値段は付かない物だったみたい。

ルビー   350万円

サファイア 50万円

エメラルド 200万円

アメジスト 5000円

綺麗な石  1000円~3000円でお付き合いで買い取ります。


オーマイガッ!!!


ちょっとだけ渡したサンプル分で600万以上になればそりゃ冷静にはなれないよな。


『ただね、買い取り屋さんの話だとカット方法が少し変わっているらしいのよ、古いカットデザインだけど珍しいからアンティーク系専門の買い取り店へ持ち込めばもっと高く買い取ってくれるかもしれないって言っていたわ』


異世界のカット方法だから地球と文化とかも違うだろうし何でカットしているのかも解らないから、そこら辺は買い取りのプロにお任せして現金化出来る物はしてもらう方向で売りに出してもらうことにした。


あと、値段の付かなかった綺麗な石は回収する。


日本では価値がないかもしれないが、宝箱に入っている位だからこちらの世界ではそれなりに価値のある物と考えたい。

どこかで売れる日が来るのを待つことにしよう。


さて、この世界にきて遠征して不便な点が出てきてしまう。

大量のドロップ品を毎回ゴミ袋に詰めて回収しているが、量が多くなりすぎて移動が大変になってきた事だ。


これを父さんに相談すると、ちょっと待ってろ!って話になって翌日の夕方には何かの部品が大量に送られてきた。


俺が相談した内容から推測して、バラバラになったキャリーカートだな


フレーム・板類がバラバラになって来てタイヤも光る空間に通るギリギリの大きさの物がチョイスされていた50cm位かな。小学生高学年が乗る位の自転車とか折りたたみ自転車サイズのタイヤ。

今回はネジ止めと組み立てだけでは難しいと言われ、小型の溶接機まで届いた。


溶接機はアマゾンで2万円位で売っている時代だからね。

自分でも驚いたけど溶接用に200V電源を新たに引いた事。

普通の延長コードじゃなくて業務用とかの灰色の電線ね。


それを光る空間を通して、リビングルームの壁に穴を開けて外に200Vコンセントを増設したよ。

日本でやるなら電気工事士免許が無いと出来ないけど、異世界だから関係無い。


これからこちらの世界で修理したり補強したりと絶対に使う事が有るからと父さんのお勧めで溶接機導入となった。


それに伴い電動工具類もフルセットに近い状態で送られてくる。

資金はゴブリンの腰巻きのおかげで潤沢にあるので普段買わないような工具まで送られてくる。


元々四人で住んでいた旧家屋なので部屋もそれなりに余っているし、物置部屋とDIYルームとして一部屋有っても大丈夫かなと思い始めた。

この辺もサクラと相談だな。


いよいよバラバラのキャリーカートを組み立てて溶接。

サクラもこんな作業が好きなのか一緒に手伝ってくれたし、ラスターとウインクも物珍しそうに見ていたかな。

流石に溶接が光る所や大きな音には驚いていたけど、俺達が作業していて安全なのが解ると溶接が光る度に目をつぶっていたりして可愛かったよ。


意外と立派なキャリーカートが完成しラスターは物珍しそうに見ていた。

キャリーカートと言えばカッコ良いけど昔風に言えばリヤカー

人が2~3人位乗れるサイズのカートで、荒れ地も走れるように簡易的なサスペンションまで付いている父さんスペシャルチューンだ。


ラスター達にこんな感じで使うのだよと説明するとラスターも体に引きひもを付けて引っ張っている。


普段は俺が引いても良いしラスターが引いてくれば長距離移動もできそうになった。

森の中の狭い道もこれで移動出来るし、大量のドロップ品が入ったゴミ袋置き場としては丁度良いと思う。


とりあえずこの世界に来て人にはまだ会った事がないので盗まれる心配も無いだろう。

でも家の前に街道っぽい道があるので本来ならば旅人とか通りそうな物だけどこちらに来てから一度も人には会ってないなと改めて思った。


そろそろ現地人とかに遭遇イベントとかあっても良さそうな気もするけどね

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