第2話 イケメン女子

「んー………」

采和に僕のことを説明すると、今度は僕の顔を見ながら唸っている。

指を少し丸くし、それを顎に置きながら。

「次はどうしたの?僕の顔になにかついてる?」

「え?いや…改めて見てみると、やっぱり顔整ってて綺麗だなーって」

采和は珍しそうに僕を眺める。僕は身長の高い采和の顔を見上げながら、同じように見つめ返した。

東京にいるときは僕よりかっこいい人がたくさんいたので、あまり「綺麗」とは言われなかったが、田舎の方ではこういうかっこいい?人は中々いないのだろうか。

「そんなに綺麗?僕」

「綺麗だよ!小顔だし、鼻筋通ってるし、目がくっきりしてるし、肌綺麗だし、眉毛整ってるし、なんかこう…シュッとしてる!歯も白くて歯並びいいし、なによりサラサラした黒色の髪!髪も整ってるから、全体的に清潔感がある。スタイル良くて、細すぎず太りすぎずって感じかな?手も傷が全く無くて、めっちゃ綺麗!偏見だけど、なんかピアノ上手そう!」

いきなり采和にガチになられ、少し困惑してしまった。でも、こんなに褒められるとは思わなかったな。

僕は少し照れながらも、「ありがとう」と采和に感謝をした。采和も少し照れたようで、可愛らしい顔をピンクにして「へへ」と笑った。

「これで身長高かったら、もっとかっこよくなれたと思うなー。今身長何cm?」

采和は組んだ腕を頭の後ろに置き、快晴の空を見た。そのとき、爽やかな風で采和の緑の髪がふわっと浮いた。

「この前測ったやつだと、146cm。采和さんは?」

「うわちっさ!俺175だからほぼ30cm差じゃん!えっ、そんな小さい?今測ったら150とかないの?」

采和は驚きながら、僕の方を二度見する。そして、改めて僕の全身…身長を確認した。

確認し終わり一回深呼吸すると、采和は顔を下に向けて、一回ため息をついた。その後に顔を上げ。

「まぁ、そういう人もいるよな。じゃあ、凪沙の可愛いところは小さいところだ!」

にっこり笑って僕に言った。僕はその時、嬉しいというか、びっくりというか…なんだか、色々な感情がごちゃまぜになった、変な気持ちになった。

可愛いと言われたのは本当に久しぶりだったから、僕は少し固まった。

そんな僕を置いてきぼりにして、采和は叫んだ。

「あっ!あそこが我が高校、美奈辰高校だよ!広いだろー?」

しばらく歩いてから見えたのは、周りの田んぼ風景に少し似合わない、現代風の木造建築の校舎。校門は頑丈なレンガでできており、運動場もとても広い。校舎は少し小さめだが、ここにはちょうどいいサイズだろう。

「すごい、ここが美奈辰高校…」

僕は想像以上に綺麗な高校に驚いた。それと同時に、心配も出てきた。

歓迎されなかったらどうしよう。いきなりイジメとかされたら?もしかしたら治安が悪かったり…

色々な妄想をしながら、僕は采和をチラッと見た。采和は僕の心情に気づいたのか、優しい笑顔で言った。

「大丈夫。ここはいい人ばっかりだから、心配しないで!なにかあったら俺がいるし!さ!職員室行こう!」

「う、うん。ありがとう」

采和は僕に手を引っ張って、職員室へ連れて行ってくれた。

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