心お弁当

進藤路夢

心お弁当

「これが看板か」

 看板を施工する業者さんによって、掲げられたものをみて、ウチの旦那はそのままを口に出した。

「こころおべんとう」

 心お弁当

 と、書かれたものをまたもやそのまま口に出す。

「違うのよ」

 すかさず、ワタシが訂正する。

「何が?」

「読み方」


 このお弁当屋さん、ウチのお母ちゃんの長年の夢。お父ちゃんが定年退職したのを機に二人で始める事となった。

 最初は仲良く、メニューを決め、物件を決め、リフォームの段取りを決め、と良かったのだが・・・・・・


 問題は店名。

 ウチのお母ちゃんミーハーなんです。

 シン・お弁当

 にするって聞かないのよ。

 そしたら、お父ちゃん怒っちゃって、やるやらないの所まで言ったの。

 それで、落ち着いたのが

 心お弁当。


「心という字にも、裏の意味があるのね」

 

 だから店の前で意味深な事言うなって!!


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心お弁当 進藤路夢 @niseuxenntu

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