第21話 交流会

………それから結を家まで送り、ある程度の手当だけして、集合場所のファミレスに向かった。

結はついて来るといったが、無理やり追い返した。


心配してくれるのはありがたいけど、この話を結に話せるわけもなく、苦渋の決断で、涙を飲んで置いてきた


――後で妹に何言われるか分からないがな………


ファミレスに入ると休みの日なこともあり、家族連れや友達など多くの人であふれていた、その中に4人席に座る、赤い髪の少女と青い髪の少女の姿を見つける…


……なにやら言い争いをしているようだが―――



「――あんたは昔から気に食わなかったのよ!転校先まで一緒なんてありえない!」


「そっくりそのままお返しするよ――ストーカーでバカだなんて救いようがないね!」


「なんですって!」



 ……とまあこんな感じで会話がデットヒートしております。


 ゲームイベントでもよく見た喧嘩、二人とも幼馴染でしかも性格容姿好みまで正反対な犬猿の仲、水と油と言ってもいいくらい仲が悪い、丸っきり正反対な二人で、ファミレス内でも喧嘩が目立ち、周りからひそひそと遠巻きに見ているようだ…


――正直この中に入りたくねえ…けどそれじゃ話し進まないしな………


意を決して、俺たち3人が反対側の席に俺、司、妹ちゃんの順番で詰めて座る。

――ようやく2人も俺たちに気付いたようだ。



「貴様らが我を欲さんとする愚か者どもか?――ならば血の盟約に従い、我と共闘の契りをかわそうではないか!」


「くだら、ない……けど、話くらいは、聞く―――で?何の、用……」


「あっ、はい――そう、です……」



 さっきまでの口調をどこに置いてきた!?


 日野さんは中二病全開だし――氷上さんに関してはぼそぼそと何言ってるかわからないし!


 ゲームでもこんな感じのキャラだったけども、さっきまでの二人での会話がなぜ継続しない!?

 

 コミュ障こじらせすぎでは?


 ――なに?お前が言うなって……やかましいわ!!


 落ち着け……ペースに飲まれるな――この二人なら俺もコミュ障発揮せずに済みそうだ――よし!



「えっ――と……今回は、交流会とルールの説明もかねて集めさせていただきました、皆さんのスポンサー……と言えばいいんでしょうか?――その方々も交えてとなりますので、後はあちらの方々に通信で説明いただきましょう」


『お願いします』


『では、僕から説明させていただこう』



―――ウダルからの説明をまとめるとこうだ。


1つ、ツール回収手段はいかなる手段も許容される、こちらの世界での法に触るようなことは、認識を書き換えてもらえる。


2つ、ツールズの回収方法は相手のツールズに触れ、回収と宣言すると所有権が自分に移る。


3つ、蓬莱博物館へ全てのツールズを持っていくと回収終了となる。


4つ、回収終了時点でツールズの数が多いものを勝者とする。


―――以上だ。


1は世界に影響を及ばさないための処置だな、犯罪やり放題だろこれ――風間の事件が表ざたにならなかったのこのルールのおかげってわけだ…


2は風間にやった方法だな、これで風間から司に移した。


3と4はまぁ勝者決めるための条件だよな。



「さて、それじゃあ次は共闘についてだが―――」



「まった――その前にこれ見てくれる?」



――机に複数のツールズを広げる。


もう一度いうぞ?

 

複数のツールズを――だ……



「おま、これ――どうしたんだよ!!」



「――僕ってお使いクエストって一気に終わらせたい主義なんだよね、メインクエスト先に進めたいし……」


『「「「「答えになってない(けど)!?」」」」』



 何でここに残りのツール全部あるんだよ……順に言ってくと


――鎖型の魔具グレイプニル

――手袋型の神具ヤールン

――小型の槍をかたどった神具グングニル

――小槌の形をした神具ミョルニル


――以上4つが、この後出てくる予定のツールズたちだったんだが、それが今、目の前にある。


名前がなんでこっちの世界の神話や伝説、伝承の武器が多いかというと単に翻訳の都合らしい……


この世界での形がそれに近いものを名前として設定するから多少能力に違いがあったりするのも仕方のないことだ……


――いや、今はそんなことどうでもよくてだな!?



「なぜと疑問を返すなら昨日のうちにまとめて奪ってきた――もちろん戦闘一切しないでね」


「いやあいつらから戦闘なしで奪えるわけないだろ……いくらあの4人が同じ屋敷に住んでるとしても……」


「――寝込みって人間無防備だよね……」



 おま!?夜中に侵入したのか!


 司?――明後日の方を見るんじゃない……こっちを見ろ!!



「警備は?」


「隠れながら進んだ」


「――セキュリティは?」


「認識書き換えてもらえるからノーアラートだったけど――念のため認識をずらすようにセカンドにも言ったんだ――契約すると認識がずれるとか言ってたでしょ?それを僕にもかけてもらった、人の体にもできるんだね、おかげで透明人間になった気分だったよ」


「―――ドアは?」


「警備の後ろにぴったりとくっついて通った」


「――――――あいつらが起きてたら……」


「その時は、時間を巻き戻してなかったことにするし――今回は一回も使わずに行けたけど……」



――お前はル・ンか!?


司はとんでもないものを盗んでいきました……


あなた達のツールズです――てか?


やっかましいわ!!



「これが一番早いと思います」



司が俺に対してサムズアップする。

物語RTAでもやってんのか、お前は!?



「そしてこれをだな……」



まだ何かする気なのかよ…今度は何をする気だ……


――そう考えこんだその時だった。



「くっ、くっ、くっ!ここまでご苦労だったな下等な人間ども!!――ここにあるツールズは全て吾輩がいただくぞ!!」



――俺の口からそのような声が発せられたのである。


全員が一斉にこちらを見るが、もちろん俺はしゃべっていない――というか一歩も体を動かせない……


まさか……体を乗っ取られた!?

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