第18話 宣戦布告
よしバッチリあっちに声は届いてるな。
まぁ名前と異世界のどこにいるか分かってれば、ナンバーシリーズは異世界だろうとこっちから通信できる。
自動で通訳してくれるのも便利だな。
推しの姿を見れないのは残念だが、声だけで我慢しよう。
まぁ文句は色々あるが、とえあえず……
『おい第一王子!お前のせいで魔王に追いかけられることになったんだからな!少しは他人の迷惑とか考えろ!!――考える脳みそないんじゃないのか?この筋肉だるま!!』
「筋肉だるま!?」
『おい第二王女!神とか神具とか色々多く送りすぎなんだよ!!――神具を通じて洗脳しかも自分の手は汚さないとか卑怯なんだよ!不正が一番多いのお前だからなわかってんのか?おい!!――多いのはそのけばい化粧だけにしとけよ!この厚化粧ばばあ!』
「厚化粧ばばあですって!?」
姿は見えないが、アランとイデアが怒りに震えてるのが手にとるようにわかる。
あぁ愉快愉快、もっと怒れ!
人の不幸を楽しむお前らみたいな人種は俺が一番大っ嫌いなタイプだからな!
「貴様はいったい何者だ!」
『俺か?俺は鈴木守!――この世界のツールズ、ナンバーシリーズのホルダーだ!!』
「そちらの世界のツールズですって!?」
あちらにとっては初耳だろ?
――こっちの世界にもツールズがあるなんてさ?
『前置きは全部いい、だいたいそっちの事情も把握してる。――だからこそ宣言させてもらう!俺たちは神族と魔族の継承権争いにおいて、神族側につくつもりも、魔族側につくつもりもない!!――俺たちナンバーシリーズの契約者は第三勢力として参戦することを宣言する!』
「「「「「「――――!?」」」」」」
これは異界の地の王族の継承争いに俺たちが代理戦争しているだけなのである。
それぞれの陣営で継承権を持つもの、一言で言ってしまえば王族だ。
王族が異世界の住人一人を指定し、ツールズを渡す。
ツールズを武器にホルダーたちをお互いに争わせる。
勝者がこの世界の支配者となれるわけだ。
神具のホルダーが勝てば神族側優位の政治を、魔具のホルダーが勝てば魔族側優位の政治を行える。
だから両陣営負けられないのである。
まぁ――そのパワーバランスも第三陣営の俺たちがぶっ壊したわけだがな?
「ちょ、ちょっと待ちなさい!それじゃあなたたちナンバーシリーズのホルダーが勝者となった時、わたくしたちはどうするのよ!!」
よしその質問を待っていた!
今俺は笑っているだろう。
――それこそ神さえ笑い飛ばしそうな笑顔でな!!
邪神よ、地獄のそこまで笑い飛ばしてやるよ。
『だからこそ提案だ。俺たちが望むのは、神族と魔族の共生の道だ!不正をした二人の罪に目をつぶる代わりに、継承権がなかったお二人に参加する権利を与えろ!!――俺たちが推薦するのは第五王女オリアナ様と第六王女カリナ様!お二人を代表として推薦させていただく!!』
「え……私……たち?」
「――本気ですか?」
まぁ戸惑うよな……
だけど今は聞き入れてもらうしかない。
絶対に俺は君を…
「貴様どこまで知ってるのだッ!こ、こんなの無効だ!!――継承権争いをやり直せ!」
『やり直したとしても俺たちは何度でもお前たちの前に現れるぞ!!――こちらの世界のツールズだ!そちらに回収できる術はない!!――邪魔されたくなかったら二人の参加を大人しく認めろ!!』
「――わかった認めよう」
「ちょっとウダル!」
「二人の不正と代理戦争が知られた時点で僕たちに選択の余地はないよ。知ってて目をつぶってくれるんだ、いう通りにするしかない――それに参加を決めるのはオリアナとカリナだ。二人はどうしたい?」
ウダルに話題を振られ、二人はしばらくの沈黙した。
だが数分もたたずに答えは出たようだ。
「私、第五王女オリアナ・マギリアルは参加を表明します」
「お、おなじく――だ、第六王女……カリナ・マギリアル……さ、参加します……」
「契約のツールズにも正式に登録された、これで二人も参加だ、おめでとう」
拍手は二人ほどの音量は聞こえるが、残り二人はしてないな……
アランとイデアなのは明白だがな……
――まぁいいだろう、通話を二人だけに聞こえるように切り替えてっと……
『さて早速で申し訳ないんだが、どちらか候補者指名してはいただけないでしょうか?――と言っても選択肢は二つしかないですけどね。俺、鈴木守か時乃紬という女の子の二人なのですが、どちらを候補者としますか?』
『そうですね……では私はあなたを指名させていただきます。はっきり物を言うところが気に入りました』
『推しの誉め言葉キタコレ……』
『……?――えっとすみません翻訳がうまくいってないようでして……』
『気にしないでください!喜んでお受けします!!』
推しの賛辞は心にグッとくるぜ。
あぁ幸せだ――この世界に来てようやくよかったと思えるよ!
こっちに来てから、親友にボコボコにされるわ――その妹に刺し殺されそうになるわ、魔王とランデブーするとか碌なことがなかったからなぁ……
神様ありがとう!!
――邪神、おまえにじゃないから引っ込んでろ!
『わ、私……残ったひと?』
『そうなりますね。ですが人見知りのあなたなら、同性の方が話しやすいと思いますが――大丈夫そうですか?』
『う、うん!がんば…って……みる!』
さすがオリアナ様だ、あえて話しやすい同性にするため、自分は男の俺を指名した。
人に譲る優しさ、天使や天使がおる!
――あれ?その理論で言うと俺外れ枠か?
まぁいっか!推しが幸せならオッケーです!!
「それでは私は鈴木守を私の代理として承認します!」
「わ、わたしは…とき……の…つむ……ぎ…ちゃんを……代理…に……します…」
「それでは、再開しましょう?――お兄様?お姉様?」
エレンさん?
声にドス利かせすぎじゃないですかね?
――いや今までの鬱憤がたまってるのは分かるけども……
まぁとりあえずこれでアランとイデアも下手に動けないだろう。
――それでよしとするか。
『それではオリアナ様、これからよろしくお願いしますね!』
『えぇこちらこそよろしくお願いしますね、鈴木さん』
絶対に勝ってみせます!
優しいあなたが望む平和な未来が、俺はどうしても見たい!!
だからあなたを助けます!
俺がこの世界から離れるその時まで……
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