第14話 作戦会議テイク2

「なるほど――博物館にあった道具は合計三つだったのか……」


「そうそう、6月3日に神具から邪神が、魔具からも魔王の魂が――てな感じでどっちかが出てくる感じ、そして対抗手段として俺が考えてたのが……」


「切嗣の神具ってわけか……あいつの神具の力って遠距離の斬撃だけじゃないんだな」



皆さんお気づきかもしれないが、なぜ風間君の契約する道具が先にわかってるかというと、6月5日に起こす連続首切殺人事件の犯人こいつなんすよ。


共通ルート最初の事件の犯人はまさかの友人だった、メインヒロインの助けもあって、倒した後選択を迫られる。


この選択によって物語が色々変わるんだが……

風間君自体は被害者というか、まぁそれも含めて今度話そう



「そうだ、あいつの神具は自分の考えた通りに斬り裂く能力――当てることさえできれば、神であろうと魔王であろうと斬り殺す――その分MP消費が激しいから6回しか使えない」


「回復とかしないのか?」


「いや無理だ、MP回復するのにマナっていうのが必要なんだが、この世界では大気中のマナが薄いから、一年でMPは6しか回復しないらしい」



回復手段あるにはあるんだが、言いたくねぇ……

1つは命の保証ができない危険なものだし……

安全な方法もMP譲渡に近いし、いい案じゃないんだよなぁ……



「そうだ!契約の共有は?――あれ使えば全員切嗣の力使えるんでしょ」


「「絶対にいや(だ)!!」」



妹ちゃんと俺の声がハモッた。


心底不愉快そうにしないでよ……

心に!心に来るから!?


それはそれとして…その方法はお前と妹ちゃんだったからできることであって……

とにかく俺は断固拒否する!



「なんでさ、ねぇどんな方法?僕にも使ったんでしょ紬?――教えてよ」



妹ちゃんに司が詰め寄り、妹ちゃんは顔を真っ赤にしながら後ずさる。

あの内容を本人目の前にして言わせるとか拷問かな?



「妹ちゃんがかわいそうだからやめてやれよ……」


「妹ちゃんとか呼ばないでよ変態不審者」



――かばったのにこの扱い、まあいいけどさ……

いやだって言えないでしょ?


本人目の前にしてあなたにキスしましたなんて……


契約の共有の条件は、契約者から相手に口づけすること

――場所はどこでもいいが、それにしたってこの条件考えたゲーム会社おかしいんじゃないの?


いやそういえばこれエロゲだった、エロゲ的にはまだ超健全なんだけどさ……

現実でそれやるのハードル高くねって話だよ。



「と・に・か・く!その方法は一旦忘れろ!」


「わかったってば、なら切嗣を何とか仲間に引き込むしかないね」


「いまさらだけど未来で自分を殺そうとしてるやつによく冷静だな」


「前の世界で殺してやるとか殺意向けられるの慣れてるし、慣れだよ慣れ」



――慣れたくないなそれ?

軍隊ってそんなに殺伐としてるの……


今度何かおごってやろう…



「――というかサードの契約はどうしたんだよ?俺が死んだなら未来で契約してるはずだろ?」


「それがここに戻ってくるときに確認したけど、使えなかったんだよ――サードからの声も聞こえなくなったし、多分未来で契約したものは持ち込めないっぽい」


『ワタシィこいつぅ生理的にぃ受け付けなぁい』



サードにここまで嫌われること司したっけ?

未来の記憶はないはずだし、単純に相性の問題か?

――なら未来で大量契約して戻ってくる案はダメか……



「まとめるよ、明日は切嗣を仲間に引き込む、マキアと紬と離れないように行動――出てきたら切嗣の神具で撃退、もし逃げることになったら走って逃げる。追いつかれそうなときはまもちゃんのサードで転移、再び攻撃――ダメそうなら僕か紬が巻き戻す、これでいいね?」


「さすが親友、いい作戦だ」


「おにい天才」


「何かここまで褒められると死亡フラグな気がしてきた……」



そういうこと言うなよ!

確かにそれっぽいとは思ったけどさ!


フラグじゃない!

――フラグじゃない……よね?

 


「まぁいいか…じゃあ明日、作戦開始だな」


「おう、じゃあ俺はそろそろ帰るぜ、また明日な」



リビングから出て、帰ろうと扉に手をかけた時、肩をつかまれる。

振り返ると妹ちゃんがそこにはいた。


司の姿はなく、妹ちゃんだけ来たようだ。



「どうした?――あぁそういうことか……安心しなよ。君が俺を刺し殺そうとしたことは司には黙っておくから、俺も包丁使って脅しちゃったし、お相子ってことでさ――」


「そうじゃなくて……それ、かぶったまま外に出るの?」



妹ちゃんに顔を指さされたので、顔を触るとレジ袋特有のカチャカチャという音がした。


忘れてた!危うく補導されるところだった!



「ありがとう!危うく警察のご厄介になるところだったよ。レジ袋外すから顔見ないように妹ちゃんはどこかに……」



俺の唇に何か柔らかいものが触れる、妹ちゃんがレジ袋を取り払い、俺にキスをしている。


えっ、いやなんで!?

キス、接吻、ベーゼ!?

あれこれが俺のファーストキス!?


いやこんな美少女からされるのなんてご褒美でしかないけど、なぜ!?



「え、あっ、ど――!?」


「これで貸し借りなしだからね!」



妹ちゃんはダッシュでトイレに駆け込んでいった。

多分俺の顔を見たから、吐きそうになったんだろう。


貸し借りって…黙っておく口止め料的な感じか?

気持ち悪くなるくらいなら、別の形で返してくれればよかったのに……

――よりにもよってキスなんて……


頬が熱い、心臓がうるさいくらい早い……

――俺はそっと司の家を出て



「あぁぁぁぁ!!!!」



大声をあげながら久々の全力ダッシュで家に帰った。

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