第2話 エロゲに転生したようですよ!?

 前回のあらすじ!転生してた!!


 ――いやなんでだよ、普通ここは異世界に転生だろうぅぅぅ!?


 剣と魔法のファンタジーじゃなくて、なんで現代舞台のゲームなんだよ!


 しかも、エ・ロ・ゲッ!!!


 そして主人公は名前容姿にいたるまで全て元の世界の親友にそっくりなのである…

 ――いやお前もなんで主人公が元の世界の親友に似てるエロゲプレイしてるの?

 ・・なの?・ぬの?などと言われるかもしれないがあえて言うぞッ!!


 主人公の容姿はパッケージじゃでてなかったんだよッ!!!


 確かにこのゲームは色々お世話になったし、大学時代やりこんで、設定資料集買うくらい好きだった。


 だが途中であれ?親友に容姿が似てるな………

 ――でもあいつもギャルゲの主人公みたいに髪のばしてるし、偶然だよね!……と自分を納得させてたのに、髪あげたスチルを確認した瞬間あらびっくり、中身まで激似でしたよ!!


 だから分かったのスチルを確認してからだからな!

 俺の方がビビったぞ!?


 それからナニとは言わないが抜けなくなったからなッ!

 親友がよろしくヤッテルとこなんて想像したくないわッ!!!


 ――などと誰に言うわけでもなく、トイレの個室で言い訳してみる。


 今は授業も終わり放課後、部活動や帰り支度をする生徒の中、俺は落ち着くために誰もいなさそうなトイレに駆け込み落ち着こうとした。

 しばらくたってようやく状況が呑み込めてきた。


 ――まずここはゲームのアルケミストツールズの世界だ。


 舞台は蓬莱町という架空の町で現代日本、ある日異世界から不思議な力と意思を持つ道具がこちらに来てしまい蓬莱町に不思議な事件を巻き起こす。


 蓬莱学園一年として通う主人公はとある出会いから事件の解決と道具の回収を手伝うことに、道具を異世界に全て送り返すことを大きな目標とし、そしてその過程で知り合った女の子と仲を深めていくというゲームである。


 いやゲームのクオリティは高くて普通にシナリオゲーとして何周もできた出来たんだけどなぁ……


 だがッ!エロゲであるッ!!

 ――そのせいであまり知られてない隠れた名作になってるんだよなぁ…


 次にこの姿についてだな


 体の持ち主は何と俺と同じ名前だった。

 そしてトイレの鏡で確認したが、15歳の俺の容姿とそっくりなのである。


 だから、あれ?――俺が若返って転移したのでは?


 ――と思ったが、この体の記憶が今も少しずつ流れ込んできている。

 その上この世界で生活していたという記憶もある。


 まぁ主人公と友達じゃなく、ぼっち決めこんでるっていうこと以外はそんなに記憶と違いはないんだけどな。


 つまり前世の記憶として覚えてるか、憑依しているかの可能性が高いんだよな。

 ――というか俺の元の体大丈夫か?死んだか意識失ってるかの状態だよなぁ……


 今気にしてもしかたないし、とりあえず元の世界に戻ることは置いとこう。


 スマホで今の日付を確認する。

 日付は6月1日の午後4時を示していた。

 こっちの世界にきてから1時間が経過している。


 ゲームのシナリオが始まるのは6月3日からなのでまだ二日程猶予はある。

 異世界転生ものなら赤ん坊からやり直して、急激成長して俺TEEできるんだろうけど……赤ん坊からじゃないし――しかも二日しかないってどんな鬼畜な神様だろうか……


 つくづく神様に嫌われる男だな俺………

 もういいや!無神論者に俺はなる!!


「――さて、どうするか」


 俺が知ってるシナリオ通りなら、6月3日シナリオの序盤も序盤にヒロインの1人が心に深い傷を負ってしまうことになる。


 暗い荒野に1人――屍の山を築く少女の姿

 全身が血で染まり、服はボロボロ、どことも分からぬ異界の地でただ涙を浮かべ月を見上げる。

 その瞳から涙がこぼれ、遠くにいる愛する人を思い泣きじゃくる光景


 ゲーム内で登場するスチルの1枚にそんな光景が描かれている。

 あのシーンは今だにトラウマだ……


 悲惨だし、何もしていない子がどうしてあんな目に合わなくてはならないと、唇を何度強くかんだことか分からない……


 このままだとそんな未来が訪れてしまう。

 そんな未来認めちゃいけないし、あってはならない。

 どうせこっちの世界で過ごすならみんな笑っていたほうがいい。


 ――自分としてはこんな展開避けたいが……

 俺自体がシナリオに干渉するのはとある理由で無理なのである。


 主人公様に頼るのもありっちゃありなんだが……

 今の状態じゃ信用がないから与太話でおわるだけだよなぁ…


 ――見た目似てるけど別人なわけだし、俺がいきなり話しかけたら……


 えっ?なにこいつ?――ってなるのがおちだ。


 しかも話の内容が内容なだけに無理だろ。

 高校生にもなって中二病とか……ひそひそひそひそ――ってなるんだろッ!?


 俺はそういうの詳しいんだ!

 実体験とかじゃないからなッ!!


 勘違いしないでよね!?

 なにより俺自身ぼっちでコミュ障だしなッ!!!

 ――言ってて悲しくなってきた……


 と・に・か・く!


 信用させるための材料を用意しないとだな。

 道具の力を見せるのが一番なんだけど、まだこっちに来てないんだよなぁ……


 来るのは早くても6月3日だし、しかもあの子のトラウマ事件と同時刻だ。

 これじゃ本末転倒である。


「あ!」


 あるじゃん、まだこっちにあって、俺でも使えそうなやつが!

 多分あれと契約できれば、シナリオに干渉できるかもしれない!!


 希望的観測かもしれないけど、試してみる価値はある。

 ――契約するまでがネックだが、契約してしまえば、俺も今日から超能力少年だ!


「そうと決まれば、行くしかないよな!!」


 主人公たちにとっては始まりの場所、そしてすべての元凶でもある。


 蓬莱博物館へ!

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