第16話 シロちゃんからのプレゼントとメイドの心得。

「いらっしゃい! 待ってたわよ。シロちゃん」


 白い仮面の紳士様は今日もオープンアタック。


「マミさん。約束通り持ってきてあげたよ」

「えええええ! すごおおおおい!」


 思わず叫んでしまった。

 だって、チェキそのものなんだもの。

 

「へー。なんだか見たこと無い形の魔道具だな」


 アゼルも関心している。


「これ、マミさんへのプレゼント使って下さい」


 シロちゃんは、さらりと紳士的に言った。


「ありがとう! うれしい!」


 メイドの心得1。

 お客様のプレゼントに遠慮はしない。

 代わりに全力で喜ぶ。

 シロちゃんのようにメイド喫茶で必要な備品などをプレゼントしてくれるのはうれしい。

 そして、プレゼントした側もお店で使われているのを見て一緒にお店を作っている感じを楽しむのだ。

 あたしも推しにプレゼントしたチェキ落書き用のペン使ってもらってて嬉しかったな。


「さっそく、シロちゃん一緒に撮ろう!

 もちろんサービスよ」


 並んだシロちゃんの表情は仮面の下で照れているように思えた。

 

「それでは撮るよ~」


 アゼルが2人で並ぶチェキを撮ってくれた。


「あら、綺麗に撮れた!」

「うん。マミさんは特に美しいね」


 シロちゃんは、さり気なく褒めてくれた。


「へー。この魔道具は魔力を消費して使うんだね」


 アゼルは関心しながらチェキ本体をあちこち見ていた。


「ええ。アゼルさん。ほんの少しの魔力だけで動いて小さな絵を作り出すんです」

「おお! つまり、電池とチェキフィルムのいらない魔法のチェキ!」


 アゼルとシロちゃんは一瞬ぽかんとしていた。


「でんち? ちぇきふぃるむ?」


 アゼルが不思議そうに聞いてきた。


「ああ、なんでも無いの。すごい魔道具ってことよ」




※ ※ ※ ※ ※




 この日は、いつものお客様がオムライスを注文した。

 そして、チェキを1枚注文して下さった。

 新規のお客様は居なかったものの魔法のチェキ本体が手に入ったのは素晴らしい。

 けど、毎日オープンアタックのシロちゃんは何をやっている人なんだろう?

 ううん。詮索はいけない。

 メイドの心得2。

 お客様の事は、お客様から話をされるまでは詮索しない。


―――――――――――


9月10日(火)


メイド喫茶『オスティウム』


 料金 1時間1980デジ 延長30分ごと950デジ


 売上

  日別 21350デジ

  月別 68360デジ

  年別 68360デジ


 席数

  28席

  カウンター 6

  テーブル 24


 メニュー

  オムライス(メイドのお絵かきあり) 1000デジ

  オリカク 1500デジ

  チェキ  800デジ


 メイドの心得


  メイドの心得1。

  お客様のプレゼントに遠慮はしない。代わりに全力で喜ぶ。

  メイドの心得2。

  お客様の事は、お客様から話をされるまでは詮索しない。


―――――――――――

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