第15話 追加メニュー2つ目。

「新メニューはチェキです!」

「チェキ?」


 アゼルは不思議そうに聞き返してきた。

 それはそうね。

 チェキなんてこの世界に存在しないはずだもの。

 あたしの推しとのチェキがお財布に入ってたはず。

 アゼルに見てもらおう。


「これです。チェキというのは」

「これはマミかい? 隣は? メイド服姿のマミに似てるけども」

「はい、これはあたしと推しのメイドさんです」

「チェキってのは、この小さな絵かな? 本物そっくりに描かれているね」

「うん。そうなの。メイドさんであるあたしと一緒にチェキを撮ったら800デジ」

「へー。そりゃあいいね。記念にもなるし」

「うん。そうそう。それでアゼル、この小さな絵、魔法とか魔道具とかそういうので、さっさっと出来ないかな?」

「えー。マミ、それはまた無茶振りだなぁ」

「やっぱり、そうかぁ。チェキは無理かなぁ……」




※ ※ ※ ※ ※




「いらっしゃい! ほんとにお帰りだね。白ちゃん」


 白い仮面の紳士様は今日も皆勤賞。

 言葉数の少ない方だけど、白ちゃんと呼んでもいいと許可が出たのだ。


「マミさん。どうしたんだい?」


 白い仮面の下にやさしい笑顔が感じられるように話しかけてくれた。

 この方は、ほんとうに紳士で良いお客様だ。


「チェキって言うのをお店のメニューに加えたいんだけども」


 チェキについて一通り説明すると白ちゃんはあっさりと言った。


「明日、そのチェキに近い魔道具を持ってきてあげるよ。

 お店で使うといい」

「え! 本当ですか! ありがとうございます!」


 この日は、白ちゃんが延長してくれて、オムライスの評判を聞きつけたご新規様も来店。

 毎日少しずつ売上があがっている。

 それにチェキを再現できる魔道具って気になる。


―――――――――――


 9月9日


メイド喫茶『オスティウム』


 料金 1時間1980デジ 延長30分ごと950デジ


 売上

  日別 22050デジ

  月別 47010デジ

  年別 47010デジ


 席数

  28席

  カウンター 6

  テーブル 24


 メニュー

  オムライス(メイドのお絵かきあり) 1000デジ

  オリカク 1500デジ


―――――――――――

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