第2話アシタヘ走れ!
さて、一見バラバラに見える彼らだが、共通点があることにある日気付いてしまった。全員、暇があったらユビをいじる。なあんだ、それだけかと思うかもしれない。でも、一般人とは指の滑らかさが違うのだ。何というか、腕の神経を使わずに、脳から直接命令を受けているような感じ。あまり新学期からやらかしたくはないが、どうしても気になった僕は、四人と話をしてみたくなってしまった。
「こんにちはー、はじめまして。石火です。」
「はじめまして、
「いえ、別に特別な用があるって訳でもないんですけど。……あ、部活ってもう決めました?」
「バレー部にします。あとタメでもいいですか」
「ああ、全然。そっか、バレー部か。道理で指先が器用なわけだ。」
「え、私なんかやってた?」
「うん、凝視しながら指めっちゃ動かしてた」
「マジか、癖になってるな」
「別にいいんじゃない?そんな嫌な顔しなくても」
「何か指いじってるともじもじしてるみたいで嫌なんだよね。気を付けよう。あ、じゃあ体験入部してくるから。じゃあね」
「うん、また。」
僕はその時、うちにバレー部があることを知った。そんなに無名なら、あんまり厳しくない気がする。葉鈴さん、ストイックそうだけど、大丈夫かな。ちなみに後で調べたけど想像通り緩い部活だった。週三だって。
あー、部活どうしようかな。何か雰囲気が緩そうだし。ていうか週三だし。部活入るのやめようかな。でも近くにクラブチームもないし、一人じゃどうやっても練習できないし……。よし、やっぱり入部して、休みの日は筋トレとか、体力作りとかにしよう。もしかしたら同級生でやる気のある人が来てくれるかもしれない。うん、今考えてもしょうがない。今日は軽く走って寝よう。
「お母さん、ちょっと走ってくる。」
「はいはい、行ってらっしゃい。しかし新学期早々よく行くわね。」
「毎日やらないと身体能力は落ちていくんだから。お母さんも何かやった方が絶対いいよ。」
「わかった、わかった。でもそれ、お友達にも同じこと言わない方がいいわよ。毬は厳しすぎるところがあるから。」
「気を付けてるよ。でも皆もやった方が良いと思うけど。じゃあ、行ってきます。」
うーん、私ってそんなに厳しいかな。確かに、威圧的ってたまに言われるけど……でも、今日は向こうから話しかけられたし。高校ではちょっと変わったんじゃない?そういえば、明日の部活どうしよう?私はもっと練習したいんだけどな、だるいとか言われるかな。いや、皆好きでバレーやってるんだから、大会で勝ちたい気持ちとかはあるはず。もっと練習しませんかって、先輩たちを説得してみよう。
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