第4話 友達


「やぁぁぁ!!!」


「大振り過ぎだよ……」


アリサが剣を振り下ろしてくるのに対し、僕は最小限の動きで回避、背後に回り、首に剣を添える


「はい、僕の勝ち」


首から剣を離して鞘に納める、するとアリサが座り込んで


「はぁ〜また負けたぁ…強すぎだよレイ…」


「ぜぇ、はぁ、よ、よし…次は…おれだ!」


ウィルは体力の限界の様で這いつくばりながらなんとか立とうとしている


授業は終わり放課後の居残り訓練をしている、残ってるのは僕ら3人だけだ


「ウィル…もうヘロヘロじゃないか…今日はもうやめておこう、他の生徒も先生もみんな帰っちゃったしね…アリサ、立てるかい?」


そう言って手を差し出す


「あ…うん、ありがと……わっ」


顔を染めて手を掴むアリサの手を引き立たせる、勢いがつき至近距離に彼女の顔が迫る…ホント綺麗だ……じゃなくて!


「ご、ごめん…力入れ過ぎた…腕、大丈夫?」


すぐに離れる


「あ………あ!う、うん!大丈夫だよ!ありがとう…」(もう少しくらい……!ダメダメ!こんな所で何を〜)


「おーい、動けないから手を貸してくれ〜」


「…………アリサ、行こうか」


「うん、私、汗流してくるよ」


「ちょ…置いてく気かよ!」


「行っておいで、僕も着替えるから、中庭で待ってるよ、キャサリン達も終わってると思うし、あんまり待たせると怒られちゃうからね」


アリサはシャワー室に行き、僕は更衣室に向かった、汗をタオルで拭いて制服に着替えているとふらふらしながらウィルもやって来た


「レイ……ホントに置いて行く奴があるか!」


「ちゃんと動けてるじゃないか…そもそもそんなになるまで訓練をするのが悪いんだよ、自己管理が出来てないね、ウィルは、早く着替えて行くよ?」


「く……なんであんだけ動いてて疲れてないんだよ、お前は」


「鍛え方が違うからね…じゃ、お先に〜」


「あ!また,置いて行くのか!?」


ウィルを置き去りにして中庭へと向かう…

まだまだ、僕は強くならないと約束もあるしね…叶う事はないだろうけど、それでも僕の目標は彼だから…


「あ、やっと来た…」


「やぁ、レイ、お疲れ…随分掛かったね」


「あぁ、ごめん、ウィルが残って訓練しようって聞かなくて」


「やっぱり、そんな事だろうと思った…それで?その元凶は?」


「元凶って…体力を使い切ってるから、ゆっくり来るんじゃないかな?アリサは汗を流してから来るって」


「ウィルはバカなの?…じゃあ、もう少し掛かるのね」


「うん、待ってようか……2人は最近どうなんだい?」


待ってるだけだと暇なので会話の種をまく


「……どうって?」


「あはは……」


わかりやすく機嫌を悪くするキャサリンと、苦笑いのノル……これは何かやったな……


「はぁ、ノル、今度は何をやらかしたんだ?」


「えーと……いやぁ〜」


「朝、私の下着を覗いたの」


「………ノル、切っていいかい?」


「ちょちょちょ、ちょっと待って!誤解だ!キャサリン!その言い方はないんじゃないのかい!?」


「事実、ノルは覗き魔……判決、死刑…」


「婚約者に言い渡す刑じゃないよね!?」


「では、執行人は僕が…」


「レイも!剣に手をかけないで!キャサリンのお母さんに娘を起こしてくれって頼まれて行ったら着替え中だったんだよ!」


「それでも、ノックもしないノルが悪い…」


「ノル…覚悟はいいかい?」


「うっ………ごめんなさい〜」


「ぷっ……あははは……ノル…必死過ぎ……」


「え?……か、からかったのかい!?」


「本当に僕が君を切るわけないだろ…でも、反省はしなよ、いくら婚約者だからって女性の下着を覗き見るなんて最低だよ」


「うぐっ……」


「変態…」


「ぐほっ!……も、申し訳ありませんでした…以後気をつけます…」


「ん、次はない…」


なんて事を話しているとアリサがやって来た


「お待たせーごめんね、遅くなっちゃって…」


「気にしない、全てはウィルが悪い」


「そのウィルは?」


「え?まだ来てないの?」


まだ来ないウィルに文句を言っていると、突然周囲から轟音が響く


「な、なんだ!?」

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