第3話 最強魔王様の朝のお仕事


 早朝の街のパトロールが終わった最強魔王様。

 今度は何をするのかと言うと、相も変わらず事故が起こりそうなところの監視だ。


 小学生・中学生・高校生が歩く通学路ほど危ない所はない。

 故に最強魔王様は全ての道路を監視していた。


「「「「ま~さん! おはようございま~す!」」」」


「うむ。元気そうで何よりだ。小さき者共よ。気を付けてゆくのだぞ」


「「「「は~い!」」」」


 時には元気な小学生を見送り。


「またいるよ。あの人。なんなのまじで」


「まさかあの年でニートとか? ウケル~」


「そこの童女共。喋るのはいいが周りを見て歩かぬか。転んでしまうぞ」


「どうじょとかマジでないわ~」


「いつの時代の人間だっての。キモ~イ」


 時には中学生に気持ち悪がられ、


「歩きスマホは事故の元だと毎度言っておろうが。いい加減学ばぬか」


「うっざ・・・」


「おい小僧。横断歩道を渡る時は、ちゃんと自転車から降りて渡らぬか」


「邪魔なんだよクソジジイッ!」


 時には生意気な高校生の相手をして過ごしていた。


 そして最強魔王様はここ数日で学んだ。

 この世界の若者はある一定の年齢に達すると、威勢だけが良い生意気な存在に進化することを学んだ。

 この最強魔王の威厳を前にしても反発するだけの胆力は認めるが、ただそれだけだ。

 気概はあれども、あんな者達が将来我の脅威になりうるのか甚だ疑問である。


「どう考えても、あのような矮小なモノに我が負ける未来が見えぬのだが・・・・・」


 そう思いながらも、それは慢心やもしれぬと思い直し、次の場所へと向かうのだった。



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