『ばす』

やましん(テンパー)

『ばす』


 『これは、古典的なフィクションです。』





 久しぶりに、バスというものに乗りました。


 鉄道がありまして、そちらのほうが早くてお安いからです。

 

 ただし、バスは自宅のすぐ前に止まります。


 たまには、よいではないでしょうか。


 終点は、近いわりに、殆ど行ったことがない場所です。


 さて、鉄道なら、10分もかからないところを、倍くらいかけて、やっと到着いたしました。


 なんと、350ドリムか。


 鉄道ならば、180ドリムだ。


 む、ないぞ。財布がない。


 探すのは面倒だ。


 後ろに降りる人がいる。


 ポケットをさぐると、5000ドリム札があった。


 嫌がられるよな。


 と、思いながら差し出すと、運転士さんは、にこにこしながら、『あいよ。』と、言いました。


 『降りててね。札出すから。』


 ぼくを降ろして、次の人を出したのです。


 それから、おつりを作って、ぼくに渡しながら言いました。


 『また、たのんます。ダイヤがあすから、ちょっと変わります。これ、時刻表です。よろしくね。』


 『あい。』


 やれやれ、と、思いながら、歩き始めたのです。


 しかし、気がついたら、また、バスの中にいました。


 『え、わ?』


 ぼくは、寝てしまっていたのです。


 さっきのは、夢かしら。


 窓から景色をみると、あまり、見覚えがありそうな、なさそうな風景です。


 でかいビルが立ち並んでおります。


 『あちゃー。終点まで来ちゃったよ。しかたないなあ。おかしいなあ。』


 バスは、ビルのふもとに到着しましたが、人影がまったくありません。静かなもんです。


 運転士さんは、さっき見た、同じかたです。


 あら、なんで、夢と同じお顔なんだろう。


 知り合いではありませんし。



 『ねちゃいまして。ははは。』


 『そら、どうも。800ドリムね。昨日も乗ってもらったし、気にはなったけど。乗って帰りましょう。』


 『きのう? あ、あの、駅はどちら?』


 『あー、後ろのほうね。』


 『すいません。はい、800ドリム。』


 『あいよ、また、よろしく。』


 ぼくは、ばくぜんとした気分で、バスから降りました。


 『おかしい。昨日なわけない。』


 ぼくは、ちょっと混乱ぎみに、歩き始めました。



      🌁🌁🌁🌁🌁



 すると、また、バスの中です。


 またまた、寝ていました。


 窓から景色をみると、まったく、見たことないような場所です。


 『どこだい、ここは。』



 バスは、空を飛んでいたのです。




        🚌 



 アナウンサー


 『今日夕方、川端東南区の豆冷魔川トウレマガワに、バスが転落しました。まだ、車体は引き上げられていませんが、なかから、運転士と、乗客2名が病院に搬送されました。容態は不明です。』



         🚏🚌

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『ばす』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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