ふくろうの刹那

第0話 営業

スマホの着信が鳴った。画面を見る。非通知だ。

誰だ？　取り合えずスライドして電話に出た。

もしもし？

河田組、組長の滝宮六郎さんですね？

昨今の組周辺のゴタゴタ心中お察し申し上げます。

私、裏で人を消し去る消しゴムを持つヤマダタイチと申します。

つきましてはこの消しゴムをお困りの方々の為に使おうと考えておりまして

滝宮様にご連絡を差し上げた次第でございます。

なんだ？

お前は？

ふざけてるのか？

いたずら電話なら間に合ってる。

もう一回電話の相手を確認した方が身の為じゃないか？

滝宮様が良くご存じの志摩井修さんが現状では

忌々しい存在ではないかと思いましてお電話を差し上げました。

これは所謂営業電話でございまして、今回サービスで志摩井様を

近い内に私の持つ消しゴムで消して御覧に入れます。

ニュースや新聞などをしばらく注視していただくようお願いします。

では、またお電話させていただきます。

ヤマダタイチでございました。

失礼いたします。

そこで電話は切れた。

ちっ！最近はおかしないたずら電話もあるもんだな。

俺が言うのもなんだが、世も末だな。