それでも、女

第4話

もうすぐ演劇部の練習が始まる。

私の学校は女子高なので、男役も私たち女子がやる。

私はなぜか男役になることが多かった。

男役の人は男っぽい歩き方や発声の仕方を教わる。

さらに本番では胸にさらしを巻いて、かつらをかぶる。

女子なのに男っぽくふるまうのはちょっと恥ずかしい。

だけど、嬉しかった。

男になれるのが。

そして今思うのは私はほんとは男になりたかったのではなかったのではなく、男でも女でもないただの人でいたかっただけなのだ。

ただの一人の人として見てもらいたかった。

それが本当だった。