04.15:再戦前

 翌日の放課後。

 竜炎学園中央にある竜首の連なった塔が火を吐くのを止め、太い柱に押し上げられていく。

 竜首の連なった部分が校舎の上に捻り広がって、それらを繋げる細いケーブルから紫色の光を出して床を形成する。

 最後に竜首が上を向き、いつもより強い炎を空高く噴き上げた。

 その周囲を囲むように校舎屋上へと観客席が伸び、上には十五基のドローンが浮かぶ。


 今回はグラウンドではなく、この悪趣味な会場で決闘するようだ。

 眠い目を擦りながら、ドローンの映像と音声に異常がないか、テレビ機器で見られるかなどチェックして行く。


 ——ビュンッ


 他の人がワープでこの会場に入ってきた。

 観客席にはチラホラと人が座り始め、段々と賑やかになる。

 しかし広すぎるからか、人は多いのに空席が目立つ。


 観客席の隅でゴンドラを停め、その上にあるパソコンを弄る。

 ゴンドラの下段には魔力バッテリとパソコン本体、その横には棒状のアンテナが付いていて、これの魔力電波でドローンを操作しているのだ。

 モニタにはドローン一五機の映す映像が流れている。

 この決闘が終わり次第、すぐに寝る。

 そう思いながら目を見開き、チェックを終えた。


『お集まりの皆さん、これからクロと狼狽学園の校長による決闘を開始致します。どちらかが死亡する、またはギブアップすることで決闘は終了となります』


 ハクトの声だ。

 もう許したつもりだったのに、悪寒が走る。


『会場へのワープが終了次第、試合開始となります。詠唱の発生をしばらくお待ちください』


 こっちはもう準備できてるのに、何に手間取っているのだろう。

 このままだと眠過ぎて倒れそうだ。


「尾長さん、何してるんですか?」

「ブラッドちゃん。私、この決闘の審判を頼まれてて」

「……酷い顔ですね。そんなで審判できるんですか?」


 あれ、ブラッドにしては口汚いような。

 まあ気のせいだろう。


「大丈夫、気合いでまだ……一時間は粘れるから」


 ブラッドは私の後ろに回り、パソコンのモニタを覗く。

 そして私の背後から抱き付いてくる。


「なっ……ブラッドちゃんやめて」

「レアールちゃんが抱き付くの、私もやりたかったんですよ。このまま一緒に観戦させてもらいますね」


 ブラッドは特に私の邪魔をする様子はないし、邪魔されても私以外にもドローンの操作をやる人がいる。

 私はただ、モニタの写りだとかに異常があれば対応するだけなのだ。


「仕事中だから……邪魔はしないでね」

「するわけありません」


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