04.10:キューピッド
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「さて。レアールとバツが出てきたら尾長とハクトを置いて他のところ行くわよ」
「クロさん、二人を仲間外れにするのはよくないよ」
ハルの問いにクロは首を捻る。
「は? 違うわ。ハクトが尾長のこと好きみたいだから、二人きりにさせてあげるだけよ。お昼前には合流するけど」
「え……知らなかった。わたしもそれに協力する」
ハルの右隣から甘がじっとりとクロを見つめ、口を開く。
「尾長ちゃんもハクトくんのことを好きなのですか?」
「さあ。あの子は尻軽になりそうだから、これを期に恋愛の重さって奴を考えさせといた方がいいわ」
甘は沈黙し、ハルは腕を組んで残念そうに唸る。
しばらくしてラドとトニックの二人がトンネルから出てきた。
二人は冷や汗を流しながら笑っている。
「いやなんてことなかったな。所詮子供騙し」
「ワレらには通用せずだったな」
——五分後。
レアールとバツの二人が入り口から出てくる。
レアールが身を屈めてバツの腰を掴んだまま、その脇から目を瞑った顔を出す。
「二人とも。ここは入口よ」
レアールはガタガタと震えながら目を見開く。
「外……太陽……安全……」
そう呟くとバツから離れ、何も起きなかったかのようにレアールは元に戻る。
「ま、いいわ」
『ワープ』
みんなは広場へと一瞬で移動した。
広場の端には屋台が並び、休憩できそうな椅子と机が並んでいる。
「迷子センターで二人を待つから、みんなはまとまって移動して。ハル、アナタにワタクシの連絡先を教えておくわ。二人が戻ったら連絡するからその時にいる場所を教えなさい」
「いいよ」
二人は携帯を取り出し、向かい合って操作する。
「尾長ちゃんとハクトくんが付き合う手伝いをクロはしているのです。我たちは気にせず遊びましょう」
立ち尽くしている他の子たちに甘が説明すると、獣人男子の二名が「「えーっ!!」」と叫ぶ。
「二人とも大人なんだな」
感心して頷くレオに、甘が苦い顔をする。
「レオとバツが子供なのですよ」
少し遠くでは顔を真っ赤にしているピアーズにレアールが近付き、頬を指先で突く。
ラドとトニックはニヤけながらピアーズを見つめる。
連絡先の交換を終えたクロが、みんなの方を見た。
「行きたいところがないならぐるっと回るわね。付いてきなさい」
クロを先頭にみんなが歩き進む。
最後尾にはラドの父親が歩く。
「うち、行きたいとこがあるんだけど!」
「どこ?」
ピアーズの叫びにハルが反応し、全員ピアーズに注目する。
「ジェットコースター!」
レアールと獣人の三人が目を見開く。
そう、四人は背が低いためジェットコースターに乗ることができないのだ。
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