第3話


闇に近づく影がある。

高級マンションの一室。

景色全貌が見渡せる場所で騒ぐ者たち。


「で、これがこの前のパーティの奴」

「うわエッグぅ、なにしてんだよコレ」

「女同士で遊ばせてさぁ、先に根を挙げた方で耐久させたんだよ」

「頭ぶっ壊れるだろこんなの、へへ」


罪を犯し、罪を償わず、罪を重ねる者。

その性犯罪者たちは、自らが犯した罪を誇りの様に語る。


「あー?なに?警察に行く?別に良いけど、お前の恥ずかしい写真、こっちにあるんだけどさ、警察行ったら俺は困るけど、お前はもっと困る事になるぜぇ?そうそう、え?消すわけねぇじゃん、金が無くなったらこれで稼ぐからさぁ、晒されたくなかったら代わりに金、持ってきてくんね?」


携帯端末一つで被害者を制する。

あまつさえ被害に遭った者を更に搾取する。

彼らは何処までも非道な連中であった。


「はー、人生楽で良いわぁ、女脅すだけでたんまり金が入るんだからなぁ」

「人間の半分が女で本当に良かったって思うぜ」

「本ッ当に悪い奴等だなぁ!お前ら!!」

「お前が言うなっての…まあ、俺ら以上に悪い奴なんか居ないだろうなぁ」

「「「ぎゃははははッ!!」」」


彼らは自らの悪事に余韻に浸る。

警察や法の裁判など恐れていない。

事実、強迫により被害者を支配している。

例え裁判になろうとも示談で済ませる。

被害者は泣き寝入りする他、道は無いのだ。


だが、裁けぬ悪は、裁きの悪が罷り通る。


「あ?なんだこれ…うわ、煙っ」

「ごほっ、なんだ、これッ」


マンションの扉が開かれると共に。

何かが部屋の中に投げ込まれる。

それは催涙剤であり、目に入ると共に眼球に激痛、そして涙が出てくる。


「な、ぎゃッ!」


ゆるりと玄関から入り込む。

黒いドレスを着込んだ黒髪の女性。

ブーツで部屋の中に入ると共に、先程の会話を聞いていたんか笑みを浮かべる。


「わる?きゃははっ、なあにそれ、この程度で悪を自称するの?雑ッ魚ぉ」


「なんだテメェ、女!?」


目を開く。

視界がぼやける、いや、何も見えない。

声だけで、辛うじて女である事が分かる。


「あれか、やられた仕返しで来たってか?」


「そんな事、聞かないと分からないの?頭が悪い人間の姿した猿モドキさん」


「調子乗ってんじゃねぇぞアマぁ!!」


涙を流す。

女は食い物だと認識している彼らは侮蔑な言葉を発する。


「きゃー怖ーい、…なーんて」


女は指先を眼を手で覆う男に向ける。

すると、指先から黒い稲妻が発し、男の頭部に接触。

それと共に、男の頭部が爆発した。


「きゃははっ!頭がボーンってなったッ!面白ーい!」


爆発音が響き驚く男たち。


「クソ、なんだ、爆弾かよッ!」


稲妻が響き、腹部や下半身が吹き飛んでいく。


「ふざけんなよ、うぎゃああッ!」


悲鳴と怒声と狂喜の笑みが聞こえてくる。


「あんたたちは何も知らなくて良い、何も知らないままに死んじゃえば良いの…それが末路、ゴミには相応しいと思わない?」


何も分からず死んでいく男たち。

恐怖で身を縮めるが、女の行動は止まらない。

命乞いをする男、女はそんな男を見下げる。


「ぐ、し、死にたく、ないィぃ!!」


「うんうん、そっかそっか、じゃあそれが遺言って事で、じゃあねっ」


指先を男に向ける。

黒色の電気が迸る。


「たす、たすけて、くれッ」


懇願する男に、心底不思議そうな顔をして首を傾げる女性。


「え?なんで?どうして助けるの?生きる価値の無いゴミの分際で生きていたって意味無いでしょ?きゃはははっ!ゴミはゴミでしょッさっさと死ねばあっ!?」


そうして、つい先ほどまで女性軽視、差別をしていた男たちは、一瞬にして死体となった。


「はー、楽しかった、はい、お疲れ様です、霹靂はたた、お勤め終了でーす」


廊下を歩きながら、携帯端末で相手に連絡を入れながら帰る女性。

その電話先の相手は仲介屋であり、女性被害者の加害者殺害依頼を彼女に頼んだ。


「はいはい…え?今度は暗殺?それも同業?名前は?…ふぅーん、黒方無銘、はいはい、分かりましたー、すぐにぶっ殺しまーす」


何処までも楽しそうに、霹靂は了解した。

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