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外から見ると鬱蒼としているようだが、
魔女の森内部はそこまで暗い訳では無い。
木々は思ったより疎らで、所々にあたたかな陽光が差し込んでいる。
話は変わるがさっきから、木々に紛れて彼女をつけている者がいる。
が、この小さな少女は構わず歩き続ける。
…気付いているのか、いないのか。
つけている者、と言ったはいいが、まあこれは魔物である。
肉の柔らかそうな少女だ。美味いに違いない。
決して性的な意味では無い。勘違いはいけないよ。
しかし魔物はあくまで彼女をつけている。
というのも、少し気になっているものがあるのだ。
それは彼女の背負っているハンマーである。
先程言ったように、彼女はハンマーを背負って歩いている。
異様なほどに大きいハンマー。どうやら鉄でできているようだ。
しかし、こんなひ弱そうな少女が担いでいるハンマー…
見かけによらず軽いのかもしれない。
なら威力も大したことはないのではないか?
…よし、一思いに、殺ってしまおう。
魔物は少女の行く先に立ち塞がった。
「やあお嬢ちゃん、残念だがあんたには…」
私の前に魔物が立ち塞がった。
…さっきからつけて来てた奴かな。
どうしてさっさと出て来なかったんだろう。
まあいいか。
私はハンマーを素早く振りかざす。
自らノコノコと射程圏に入って来た魔物。なんとまあ愚かなこと。
安心しなさい、一撃で終わらせてあげる───
グチャッ、と鈍い音がした。
彼女は振り下ろしたハンマーを持ち上げる。
そうしてそこにあったのは、かつて魔物であったらしい血みどろの肉塊。
…少女は再び歩き出した。
さっきよりも心なしか軽快に。
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