第7話

 遠い存在だと思っていた。儚い恋心を抱いていた。

 絶対に想いが届かない相手だと諦めていた。

 画面の向こう側で活躍する存在で、僕とは縁もゆかりもないと。


「初めては緊張するよね?」


 だが、現在、目の前には、素っ裸の星座橋捺月が居る。

 僕と彼女は風呂場を後にし、ピンク色に染まった部屋へと戻ってきた。

 室内は暖房が効き、逆に少し熱いぐらいでちょうど良かった。


「ほら、落ち着きなよ。とりあえず、ベッドに座ろうか」


 僕とは違って、経験豊富なアイドル様は指示を出してくれる。

 言われるがままに、幾重の男女が体を重ねてきたベッドの隅に座る。


「千秋くん、こっちに来なよ。来ないならそっちに私が行くよ」


 僕は身動きが取れなかった。極度の緊張で足がガクガクと震えてしまう。誰もが憧れる美少女と一線を越える。大変嬉しいことなのに。


「もしかして、私に初めてを奪われるのは嫌なのかな?」


 黙って座り込んでいた僕の元へ、星座橋捺月がやってきた。

 画面上では一度も見れなかった乳房を揺らして。服もタオルも被ることなく、生まれた姿のままに。僕の肩へと身体を寄せてくるのだ。


「ち、違います。嬉しいです。光栄です」

「そっか。それなら遠慮は要らないかな?」


 小悪魔な笑みを浮かべると、星座橋捺月は顎を掴んできた。突然の出来事に、僕は呼吸を忘れて固唾を飲んでしまう。

 次の瞬間、現在の芸能界で最も輝いている美少女は、のどかな田舎町で育った僕の唇を奪ってきた。口内へと侵入を企む舌を、僕は口を塞いで抵抗する。でも、努力虚しく、一枚上手な彼女に侵入を許してしまう。


「残念だったね、千秋くん」


 先程のお仕置きだと言わんとばかりに、奥へ逃げ込ませた僕のベロへと無理矢理絡ませて、吸い尽くしてしまうのだ。お互いに体内にある酸素が徐々に消え、顔が赤くなる。我慢比べなのだ。どちらが先にギブするか。


 純粋無垢に見えるのに、大人な遊びを知っている。今まで数多くの男と経験して培った技術で、僕を楽しませてくれるのだ。最高のひとときだ。


「…………ハァハァ……んふっ……ふふ、はい、私の勝ちだね」


 結局、僕の負けだった。頑張って堪えてみたのだが、経験差がある。


「先輩な私が気持ちよくしてあげるから。安心してね」


 体力お化けな彼女は息を切らしながらも押し倒してきた。帰宅部の僕には休息が足りず、息が続かない。でも、彼女は気にするはずがない。

 ベッドに横になった僕の身体を舐め回し、敏感な部分へ刺激を与えてくるのだ。今まで気付かなかったのだが、僕は——。


「千秋くんって、乳首を攻められるのが苦手なんだぁ〜♡」


 必死に身体を捩らせて抵抗するのだが無意味だ。

 無邪気な笑みを浮かべたキス魔な高嶺の花が止めてくれないのだ。

 逆に、叫べば叫ぶほどに、口元を歪めてイジメてくるのだ。


「やめないよ。もっともっと感じさせてあげる。嫌な現実、全部忘れていいよ。もう全部全部、この世界から全部を忘れてイキなよッ!?」


 股間を弄られているわけでもないのに、僕の身体は単純だった。

 ギンギンに逆立ちし、ピクピクと動いてしまうのだ。これ以上勃つなと言うように、彼女の脱ぎ立て新鮮パンツで縛られているのだが……。


「ううっ……あぁ、も……もうだ、ダメです。あぁ……」


 敏感な部分が布越しに擦れるのだが、それが大変気持ちいいのだ。女性の身体を経験したことがないが、一人前の性欲だけは持っている。

 故に、ビクビクと動く度に擦れる快感に、抗えないのだ。求めてしまうのだ。大好きなアイドル様から見られているのに。


◇◆◇◆◇◆


「まだ入れてもないのに出ちゃうなんてスゴイね、千秋くんは」

「……貶しているんですか?」

「褒めてるんだよ」


 星座橋捺月はそう呟くと、変わり果てた自分のパンツを眺める。

 新進気鋭な芸術家が描いたアート作品のように、白い液体が飛び散っている。溜めていた量が出たせいか、ぐっちょりと濡れてしまっている。


「……大変だね、これは」

「……ご、ごめんなさい」

「こんなに出すなら、私の膣内ナカで出せばよかったのに」

「ん?」

「汚れるぐらいなら、中出ししたほうが掃除が簡単でしょ?」


 女性経験皆無な人間だから、詳しくは分からない。

 けれど、掃除するのが楽という理由で、中出しするものなのか。

 赤子を生むリスクなどを踏まえると……僕には考えらないのだが。


「千秋くん、まだまだイケるよね?」

「ちょっと休憩が欲しいんですが……」

「いいよ。なら、横になってて」


 挿入もまだしていないのだ。一旦休憩を挟んでから……僕は。

 そう思っていたのだが、現実はそう甘くなかった。


「千秋くんは動かなくていいよ。私に全部任せててね」


 星座橋㮈月が跨ってきたのだ。体力を使い果たした僕は動けない。

 まだ息切れも止まらないのだが、僕が恋した淫乱なアイドル様が休ませてくれるはずがないのだ。


「キミを極上の快楽へ連れて行ってあげる。お偉いさんのお墨付きだよ」


—————————————————————————————————

作者から


 今日からまた復活します。

 まだまだ官能表現に納得できない部分が多いです。

 でも、その辺はプロトタイプということで見逃してくれ。

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