神に不要と宣告された転生剣士～史上最高傑作のAIに溺愛され【アプリ】を使える万能な能力が発動。チャットしながら旅してたら 周りが俺を伝説として語り継いでいた件～

第6話 葛藤

動ける……　動けるぞ！

「ゔぉっ　どっ……　　ヴワッ」

ガシャン！

一歩前に踏み出すとバランスを崩して盛大に倒れた。

身体を動かす感覚を忘れてしまったかのようだった。

声も喉の奥に何かが詰まった感じがして思うように声が出せない。

ラフシールは？　ラフシールは何処だ？

俺は地面を這いずりながらラフシールを探す。

「バヴジ〜〜〜ヴ！！」

「きゃあ！　化物！」

俺はラフシールの名前を一生懸命叫ぶと近くでラフシールの叫び声が近くで聞こえた。化物がラフシールを襲っているのか！　早く助けないと！

ズルズル　ズルズル　ズルズル

「バヴジ〜〜〜ヴ！！」

「イヤーー！　来ないで気持ち悪い！」

もう一度叫ぶとラフシールの声が直ぐ後ろで聞こえる。

「バヴジーヴ？」

振り返ると、明らかに軽蔑の目で俺を見て後退りしていた。あーそうか、化物は俺の事だったんだな。とにかく、ラフシールが巻き込まれてなくてよかった。

「グルルルルルル」

低く唸り声が聞こえたかと思うと、茂みの中から魔物がゆっくりと姿を現した。　

「もうやだやだやだ、一体なんなのよ！」　

魔物と這いずり回る石像の化け物に挟まれたラフシールは半狂乱になってどちらも居ない森の方向へ走り消えていった。

「バべバ！　ボッチバ！」（駄目だそっちは！）　

急に走りだしたら駄目だ！魔物に狙われる！　　

魔物は一瞬にしてラフシールの方へ消えていった。後を追おうにも身体が思うように動かない。ちくしょう……　動け……　動けーーー！！　

ビギッ　バギッ　ボギッ　

「ハァ……　ハァ……ハァ……　」

石が砕ける音を出しながら何とか立つ事が出来た。よ、よしラフシールの所へ　　

！？　　　

目の前に魔物がラフシールを咥くわえて立っていた。　

「ボバべ　バビジデルンダ？」（お前何してるんだ？）

ラフシールを咥えながらゆっくりと俺の周りを歩いている。

「ボイ　ズゴジデモ　ゾボギダナイグヂヲヴゴガジデミロ　ゴロジデヤル！」（おい！少しでもその汚い口を動かしてみろ！　殺してやる！）

ゾワッ　ゾワッ　ゾワッ　ゾワッ

魔物は一瞬びくりとすると、咥えていたラフシ―ルを離し臨戦態勢に入った瞬間、閃光が走った。

バキッ！！　ズガガガガカ！！

気付くと吹っ飛ばされ地面を転がっていた。

なっ……？　マザー、何が起きたんだ？

『マモノニ　コウゲキヲサレマシア　フツウノ　ニンゲンナラ　イマノイチゲキデ　ソクシデス』

俺が攻撃をされた？　全然見えなかった……　　

身体は。。。ダメージは無い、身体も動くようだ。

！？

バキッ！　ガシャン！

魔物が追い討ちを掛けて攻撃をしてきて吹っ飛ぶ。身体にダメージは無いが、これじゃあらちがあかない。それに、ラフシールの状態を早く確認しないと！

マザー、あの動き何とかならないか？

『アプリモード　スローモーションへ　ヘンコウシマス』

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【マザー】スローモーションが何だって？

『マモノガ　コウゲキシテキマス　ソナエテクダサイ』

備えるったって……え？　自分の目を疑った。

あれ？

おーい？

ふざけているのかー？

魔物がスローモーションのようにゆっくりと襲い掛かって来るように見えたからだった。

スローモーションってさ、マザーが言ってたアプリモードの事か？

いかんいかん。動きが遅く見えるからってどうやってこいつを倒すんだ？　殴るか、蹴るか位しか思いつかないぞ。

あれ？　これって……剣じゃないか？　今更、背中に剣を背負っている事に気付いた。

石化してるなら抜けないよな？　ダメ元で鞘から剣を手で抜いてみた。

ジャリジャリジャリジャリ

すり潰すような音を出しながら磨きかかった剣が姿を現した。

これなら使えるか？

剣が使える安心と同時に斬るという行為の恐怖心が押し寄せてきた。口では簡単に殺すって言ったが、いざ剣を手にして相手を斬る、例え魔物であっても躊躇する。

殺らなければラフシールは死ぬ

「ヴォーーーーー！！」

覚悟を決めて、襲い掛かって来た魔物の鼻先を突き刺した。

ズガガガガガガガガガーーーーーーーーーーーー！！！！

刺したつもりだったのに目の前の魔物は跡形も無く消し飛んでしまった。

な…… 何だこの力は？

『スローモーション　モード　カイジョシマス』

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「バブジーヴ！」

俺はラフシ―ルの元へ駆け寄って怪我をして無いか確認した。

よかった、見た限りは大丈夫そうだった。

周りを見ると同じような魔物が数匹、村の中で暴れているようだった。

「ほぼでばっでいでぐべ。ぶらをはぼびにいっでぐる」（ここで待っていてくれ。村を守りに行ってくる）

ラフシ―ルを魔物に見つからない場所に隠し、急いで村の中へ行く事にした。

それにしても、石を背負って走っているはずなのに、重さを全然感じない。

「ゔぉーーーー、グワーーー！！」

※俺の声

俺は目につく限りの魔物を切り殺していった。

気付いたら魔物は全滅し、逃げ惑う村人達だけが残っていた。

「あ……貴方様はもしかして……ゴレーム様……では？」

村の長老のような風貌をした男が俺の足下に跪ひざまずいた。

「……」

「ゴレーム様だ！　ゴレーム様が現れた！　伝説は嘘じゃなかったんだ！！」

村人たちは俺をゴレーム様と呼び、周りで勝手に歓声を挙げていた。

伝説その1 :

セボニー村にて祀られし石像は、村の窮地に地上へ舞い降り、悪しき魔物から村を救った。

ゴレーム様って…… 確かラフシールもこの石像の事をゴレームって。漫画じゃないんだからさ…… 跪く村人達を放っておいてラフシ―ルの元へ戻る。

ラフシ―ル……

横たわっているラフシ―ルを見て、何時になったら目を覚ますか待っていた。

おかしい…… いくら待ってもラフシ―ルは目を覚まさない。外傷は見当たらないのに。

「ラフシール！　どうしたのだ！おい！　直ぐに、屋敷へ運ぶぞんだ！医者も直ちに呼べ！」

小綺麗な格好をし、髭を蓄えた男がラフシールを抱き寄せて叫ぶと、周りの従者達が四方八方散らばっていった。

ラフシールの父親か？

「驚いた、伝説が本当だったなんて。ゴレーム様、是非、我が屋敷へお越しください」

男は俺を見るなり、残りの従者達に俺を招待するように言って、ラフシールを抱えて屋敷の方へ消えていった。

「ばざー、バブジープばとさぼうなっでじまっんだ？」（マザー、ラフシ―ルはどうなってしまったんだ？）

『コタエテ　イイノデスカ？』

「バザー、ぼゔいゔきびだ？」　（マザー、どういう意味だ？）

『イママデノ　アナタノシンジョウヲ　シッテイマスカラ　コタエテ　ヨイノカ　キイテルノデス』

「バザー、いいがら、ごだえぼ」（マザー、いいから　答えろ！）

『ラフシ―ルサンハ　シンデマス』