6-1アイツと僕

ミハナ

六話目

勢い眠りに落ちてた僕を強く揺さぶり、名前を呼ぶ声に意識が浮上する。

なんだよ、わかった、起きるから……

うすらと目を開けた視界には顔を覗きこむアイツの姿。

また泣いただろ、と目尻を優しく撫でられ、僕ははっと覚醒する。

なんで、なんで、ここにいるんだ、喉まで上がった声を制し、アイツが言う。

昔からお前は何かあると美術室に駆け込んでいたじゃないか、戻ったらお前がいなくてピンときたら案の定だったな。

何年そばにいたんだと思ってんだよ、と軽く小突かれて、乾いた声で授業はと聞いた。

そしたらアイツはなんでもないようにサボったと。

今すぐ戻れと詰る僕をさらに制して、気づいた時にはアイツの心臓の音を聞かされていた。

ぎゅうと抱きしめられていて、僕はパニックになった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

6-1アイツと僕 ミハナ @mizuhana4270

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説

6-4 アイツと僕

★6 恋愛 完結済 1話