3.ラグナロクの歴史的経緯 ③識者による命名
③ 識者による命名
以下に,当時の日本ローカルなテレビ番組のワイドショーで語られた,5人の識者たちの会話を書き起こす.マンガ家,SF作家,大学教授,助教授,俳優の5人である.もちろん,登場する人たちは,須くつるつるである.
「だからね,そもそも無理なんですって」
「無理ってどういうことですか?」
「世界最大のお金持ちとか,大国のトップである大統領とかを見ても,けっこうな割合で元々カミがない人たちはいたわけじゃないですか」
「(あの国)と(かの国)と(この国)……」(注7)
「そうそう.地球上で絶対的な権力を持っているような人たちでさえ,失ったカミを戻すことはできてなかったんです.抜けたカミを戻した人間が存在しないのだから,それを治療する薬や医療技術は存在せず,いくら金を積んでも,カミは元には戻らないと言うことです」
「ラグナロク」
「はい?」
「いや,この現象を,何かいい名称がないかとずっと考えとったんですが,ラグナロクてどうかなと思いまして」
「ラグナロク」
「なんですっけ?」
「今回の現象は,ラグナロクの風が吹いた,ということでいかがでしょう?」
「確か,北欧神話の……」
「神々の黄昏,ですね」
このワイドショーでの命名が,SNSで拡散され,そのまま世界中で「ラグナロクの風が吹いた」,「ラグナロク現象」というネーミングで認識されるに至ったのである.(注8)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます