第7話 気づき

あれからレイラという少女に色々教わった。

(純粋でとても良い子なのよね。)


今私がいるのは、どうやらここは病院ではなく神殿というところの離れらしい。


他人に憑依して得体の知れない状況に陥ってしまった今、偶然か必然か、この身体の宿主は記憶が無いという設定になっている。

異世界転生ものの作品の場合大抵、主人公側からは宿主の過去や記憶がみえるはずなのに、全く覚えていないのも不思議だ。


(やっぱり異世界ってわけじゃないのかな?)


本当のことを言ったとて、頭がおかしくなったと思われるか不審がられるのがオチだ。


(それにしても…やることもないのにずっと部屋の中にいるなんて退屈…。)


窓を覗いた感じここは1階らしい。

まわりに誰かがいる気配もないので、きっと神殿に行ったか、どこかに出かけたのだろう。


何もすることがなく、部屋を物色していると、机の引き出しに鏡を見つけた。


(この世界にも鏡はあるんだ…。ただ少しだけ霞んでみえる。純度が低いのかな。)


私は鏡を覗き込んだ時、ハッと息を飲んだ。鏡の向こうから楊貴妃も気後れするような美しい少女がこちらを見つめていたのだ。


透き通るような銀髪に青い瞳。

日に焼けることを知らない真っ白な肌。

ほんのり色づいた果実のような唇。


本当にこの世のものだろうか。

鏡に映る少女が自分だと気づいたのはしばらくしてからの事だった。


(人形のよう…。)


今こそ自分の容姿ではあるものの、こんなに綺麗だったら人生勝ち組だなと思いなんだか少し複雑な気持ちになった。


(私が現代でもこの見た目だったら、蒼穹は朱莉の元へ行かなかっただろうか。)


その答えは誰にも分からない。









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こんな少女漫画存在しません! 川崎ゆき @yuki_kawasaki18

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