第6話 捨てられた聖女

「私に家族はいましたか?」

私は再び問う。


神官長は困った顔をして少し間を置いてから答えた。

「私にはよくわかりません。道に迷ったあなたの目の奥には不思議な光があったから___神殿に連れてきたまでです。」


なにか濁されたのは気のせいだろうか。

まぁいい、要するに捨て子ということであろう。


「私は捨てられたのですか…?」

身の回りのことだけでもはっきりさせておきたいので、一応聞いておく。


神官長は少し眉間に皺を寄せて言った。

「あなたはもう聖女です。過去の縁はきっぱり忘れてください。」


(ん…?少し怒ってる…?)


「記憶を奪ったのも、過去の縁を断って生まれ変わり、聖女としての道を歩むための明確な神の意図だと思います。」


(えぇ…何もわかんないじゃん…)

どうやらこの人を問い詰めても無駄なようだ。私は別の手段を探すことにした。

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