第3話 最終選別
あれから一か月、汗水垂らして待ちに待った《降魔大聖の最終入隊試験》当日俺は朝一に誰よりも早く目的地に到着した。
「お前、俺様の気配に気付かなかったのか?」
背後から野太い声が聞こえた。俺はふと後ろを向いたらそこには白髪の少年が居た年は俺と同じぐらいの年だろう。
「お前は俺より来るのが遅いうえに俺の存在に気づけなかった。そんな奴が悪魔を倒せるのか?」
「いきなり何なんですか!。俺はあの人との約束を守るために降魔大聖に入るんです。あなたには関係ないです!」
「そうか……。まぁがんばれ」
俺は少し感じが悪い白髪少年に文句を言いその場を去った。そしたら次はポニーテールの女の子が案内人の人にケチをつけているではないか。
「全く降魔大聖はこんな人しかいないのかな……」
俺は心の奥にある少しの不安を抱えながら案内人の人の説明を聞いた。
「今から最終試験の選別をします」
・一週間の間この山からは下りない事
・悪魔に殺されても何も文句を言わない
案内人が話したルールはこの二種類だけだ。正直これなら案外楽勝かなとその時俺は思っていた。
一日目、俺は山の南側の中層に来ている。あの時案内人は言わなかったのだが、この山は初層、中層、上層の三層に分かれて上に行くにつれ悪魔も強くなるらしい。俺は今自分が戦える中層で一週間暮らすことになるだろう。
だが、中層でもかなり強敵だ。毎晩次々と参加者が殺されていく、その悲鳴は俺の耳にへばりつくぐらいには聞いただろう。
二日目の夜、とうとう俺の前にも悪魔がやってきた……でも俺には師匠の最終試験で異能ノ悪魔を倒している実績がある。俺は自信を持ち雑魚悪魔の元へ行き一刀両断にする。
「主様……今回、めぼしい入隊希望者はいますか?」
「私はね……今回三人ほどいるんだよ……。一人目は《陰道
「あの子ですね……、気配を完璧に消せることで有名な人ですね」
「二人目はあの伝説の大聖が育てた
「あの降魔大聖でも話題になった子ですね)
「最後は《
「あの子は安定の入隊ですかね……」
俺は次々と襲いに来る悪魔を蹴散らしている最中、あるものを見てしまった。それは目にもとまらぬ速さで次々と上層の悪魔を蹴散らしている少女。
「あの子は何だ……強すぎる。年は俺よりか若いと思うのだが……」
俺は近づきその少女の戦いぶりを見ていたのだがそれは大聖の方々と同じぐらいには強かった。少女はポニーテールの髪をゆらゆらと揺らしながら俺のとこまでくる。
「君何しているの?」
「俺ですか?」
「うん」
「いや、君が強すぎてずっと見てしまった」
「ありがとう、でもそういう事ではない……《時ノ術 時のはしぐれ》」
俺はその時気が付いた。この少女は元から俺の後ろに悪魔が現れていたことに気づいていたのだ。俺の頭上に走る青色の閃光と共に春雨が降り悪魔は消滅した。
「これは遊びではないよ。気を付けてね」
彼女はそう俺に告げその場から消えるように去って行った。
そのまま俺は崖の穴に拠点を作りすぐに寝付いたのだが試験会場であるこの山全域で緊急放送が鳴った。
『緊急放送!緊急放送!』
周りの入隊希望者は焦りあたふたしていたのだが俺はこの時こそ冷静にと言う師匠の教えで落ち着いて放送の続きを聞いた。
『この
俺はこの放送を聞きすぐさま初層に向かった。ここで助けに行かなければ今後戦うであろう斬禅に勝てない……。俺は初層に着いたのだがそこに居たのは巨大な悪魔だった。
「大きい……」
ほかの入隊希望者も続々と初層に集まって来たのだが、目の前に突如現れた巨大な悪魔に怖気ついたのだろうか、腰を抜かすものも居た。ほかの入隊者が腰を抜かしている間に俺の体はとっくに動いていた。
「こんな悪魔は死ぬことが先だ!《水ノ術
俺は巨大な悪魔に今出せる最大パワーの水流龍ノ型を撃ったのだが弾かれてしまいカウンターを避けようと右に回転したが間に合うはずもない。俺はすぐさま守りの構えをしたその時。後ろから黒色の線が入り血が噴き出した。
俺は後ろを振り向くとそこには一番最初に出会った白銀色の髪をした少年が居た。
「お前、よそ見をするな……死ぬぞ。《
すぐに白銀の少年は術を撃ち放ち、その場を離れた。俺も彼を見習い悪魔の後方に回り技を次々と放つがそのすべてが効いていない。
「こいつは何なんだよ……。俺が最終試験で戦った異能ノ悪魔とは桁が違い過ぎる」
俺は少し弱音を吐いてしまったが、すぐに意識を保ち師匠の教えである落ち着きを取り戻した。
「この悪魔何か変な感じがするな……。何か前戦って倒したあいつとは違う感じがする……」
俺は少し気がかりがあることを覚えこいつを倒す手数を整えた。
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