第59話 里美はキヨシの秘密を⁉*⋆*
一九八三年里美とキヨシは結婚したが、里美両親の反対に合い結婚式は挙げていない。
また、あの大女優の息子だというのに結婚して五年も立つのに、一度も不動産王の異名を持つ父親と大女優山本光子に、会った事がない。
元々キヨシは余り社交的なタイプでは無く、サンカだったなごりもあり手先の器用なキヨシは魚をさばくのもお手のもの、趣味が高じて調理師専門学校に通い調理師免許を取得して喫茶店をオ―プンさせていた。
そのため、お店の新メニューの開発や読書などに集中する、一人黙々陰にこもるタイプだったので気にも留めずに忙しい日々を過ごしていた。
ある日週刊誌をピラピラめくっていると、大女優山本光子の特集が組まれていた。
御主人様と寄り添うように写った写真「な~んて優しそうな御主人様!」
恵まれない人達の為の慈善団体に、多額の寄付をしたとの事。
「微力ではございますが、恵まれない人々を何とか救いたい気持ちでいっぱいです」とかなんと上手い事を言って、どうせ節税対策と人気取りの一環なのだろう?
ほとんどの場合は善意からだが…中には……?
この大女優光子の夫山本という男は、めっぽうプライドの高い男で、人をさげすむとんでもない男だった。
世間様の賛辞が何よりのご褒美。その為妻に選んだ女性も誰から見ても非の打ちどころのないあの当時〈お嫁さんにしたい女優ナンバ―1〉の飛ぶ鳥を落とす勢いの若手女優山本光子をお嫁さんにしたのだった。
そんな当時〈お嫁さんにしたい女優ナンバ―1〉の飛ぶ鳥を落とす勢いの若手女優山本光子をお嫁さんにして置きながら、妻にした途端に変わってしまい、やがて妻を追い込み、我が家の大汚点、清輝を追い詰め死に至らしめた冷酷無比な男。
更にページをめくって見たのだが、お嬢様の写真も載ってたのだが、キヨシの写真がどこにも載っていない。
特集ページの最終ページに、幼少期の家族写真がチラリ分かるか分らないくらい。それも…小さなスナップ写真。
その時に里美は(エエエ――――!これは絶対キヨシじゃ無い!)と直感した。
他人が見れば、キヨシと思って見れば見えなくもない程の些細な違和感だが、里美は(何か違う!)と確信に似た疑いをキヨシに向けた。
あれ以来疑心暗鬼の里美は「あなたの家族に合わせて」と引っ切り無しにキヨシに催促している。
そして、山本家におもむいた事が有った。
お嬢様は父の跡を継ぐため父親の会社に出勤中!〈お嬢様だけは成りすましがいる事は知らない〉本当は御主人様も御一緒出来る筈だったのだが、急用で光子だけが出迎えてくれた。
(嗚呼…私の勘違いだったのね~!)光子が出迎えてくれた事で、考えすぎだと思い、ホッとした里美なのだが……。
あの山本光子のあの異様な、可愛い息子を見る目とは異なる、不自然な眼差し。
あの眼差しの意味は……?
🔷🔶🔷
興業の世界、芸能界は一昔前までは、ヤクザと密接な関係だった。
芸能人もお相撲さんもスポ-ツ選手も何もかも。お客様を呼ぶ興業は、全てヤクザが絡んでいた。
興行師がいて、それがやくざの資源になっていた時代。
光子の事務所は田淵が実質上の経営者。
出世欲の強かった光子は(主演女優を張る為ならどんな事でもしてのし上がってやる!)そして田淵組長の義弟で経営者の矢島社長の女となり、のし上がった。
矢島社長は数年前に亡くなっていた。そのため息子で現社長が、光子の子供だとの噂がある。
どっちにしても現社長は光子に可愛がって貰った記憶が鮮明にある。光子の為だったら何でもする。
そんな時にあのキヨシにしつこく付きまとっていたゆかりが死亡した。
事件なのか?事故なのか?
もし事件だったら犯人は誰なのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます