第26話 由美子の生い立ち *✰
由美子(みよ)は、父に売られて名古屋市中村区指定暴力団事務所にいる。
「あら~まだ赤子ね~可愛い!」
姐さんがほくそ笑んで何やら算段中……。
どのような経緯を辿って、ヤマト醬油のお嬢様として生きて行くことになったかは、のち程また……。
🔶🔷🔶
一九八〇年初秋のもうチラホラとんぼが、ひこうき雲と競い合うように青々とした空を駆け巡る頃……。
「お嬢様お電話でございます。」
「誰から?」
「それが?おっしゃらないので…」
「まあ誰~?アッどちら様?」
「…あの~伊藤です」
「アア……伊藤隆史さんどうしたんですか?」
「それが~?あの~?チョット相談が…どこかでお会いする事は出来ませんか?」
「じゃ~名古屋駅前の、前に一度入った喫茶店シャトーで、ああ…覚えていらっしゃるかしら?明日の午後六時に……」
「嗚呼…覚えています。じゃ~明日」
伊藤隆史は今名古屋大学大学院工学研究科二年生。ゆくゆくは日本最大級の自動車メ―カ―【トウカイ自動車】に入社して最先端の自動車開発に取り組みたいと思っている。
次の日の午後六時「やあ!久しぶり」
「本当に三年くらい会っていませんね。何が有ったのですか?」
「実は三年前の京都ドライブの事だけど?幸子ちゃんとしか連絡出来ないからさ~?俺が『由美ちゃんに折り入って話があるから、由美ちゃんの電話番号教えて!』って言ったんだ。すると?『今度三人で京都までドライブしようよ?その時に由美子に直接聞けばいいじゃない?』そしてドライブの日、由美ちゃん現れなかったろう?風邪ひいちゃって!」
「エエエエ~?違う!違う!幸子が『家の用事でいけないから中止だ』って電話が入ったのよ!」
「いや!いや!あの日由美ちゃんが現れなかったので『由美ちゃんが行かないなら俺帰るわ』ってあの日言ったんだ、すると幸子ちゃんが泣き出して『由美ちゃんの事が好きなんでしょう。どうせ私の事なんか?ワァ~~ンワァ~~』泣き出すもんだからさ~困っゃって…仕方なく京都までドライブしたんだ。するととんでもない事を言いだしたんだ。由美ちゃんが犯罪に関わっているって。とんでもない事言ったんだ『一体それはどういう意味?』って聞き返したんだ。すると『はっきりは分からない?』って言ったんだ。だから俺腹が立って、そんないい加減なこと口走ったので『帰る——!』って怒ったんだ!」
すると由美子は、みるみる顔色が変わっていった。犯罪って一体…?
由美子が老舗醤油メ―カ―ヤマトのお嬢様に治まる事が出来た裏には、どんな出来事が有ったのか?
それから、伊藤隆史と由美子の今後には何が待ち受けているのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます