存在しない私

第17話 殺害理由 ＊

　ベテラン刑事上村は、井上勇代議士殺害事件は贈収賄事件に絡んだ一連の事件の隠蔽工作のために殺害されたのではないか？麒麟事件に絡んだ使途不明金が、一体どこに消えたのか？

「井上さんハッキリ説明してください。正直に答えて下さい。噓はいかん！偽証罪に問われますぞ～！使途不明金が週刊誌に記載される一週間前辺りに、小森さんと国土交通副大臣田中さん更には麒麟副社長の会食が目撃されている。又金銭授受の現場に立ち会ったと言う者まで現れている。言い逃れは許さん！」

「私は何も？何も？知りません」

　ある日の午後薄暗い部屋の一室で……

　恐ろしい形相でかっぷくの良い、いかにも上層部の大臣風の中年男と誰かが？

「井上代議士は正義感が強すぎる危険だ！口を割られては？？」

「本当ですね分かりやした！」　

　上層部の政治家が口封じの為に、正義感の強い井上勇大臣を消したのか?　　　　　　　　　　　　　　　　

　🔶🔷🔶

　その頃キヨシは、このやくざ社会から足を洗おうと必死だ。実は里美が、強くそれを望んでいるからだ。　　　　　　　　　　

　やくざの世界は一筋縄では行かない。だが…何としても！と強く望む里美の為にキヨシは考えあぐねている。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　里美の両親は大権幕だ｡

「そんなどこの馬の骨とも分からないヤクザもんと何故？折角病院まで持たせてやったのに、絶対に許さん！」父は鬼の形相で睨み付けている。

「わぁ～～ん😭情けない！私はあなたをヤクザもんにクレてやるために、ここまで育てた覚えはありません。わぁ～～😭わぁ～～ん😭」母は半狂乱で延々と泣き続けている。

(それでも里美は私の人生私の好きに生きて何が悪いの？)と心に決め何の迷いもない。　　　　　　　　　　　　　　　

　果たしてどうなることやら？