第15話 キヨシは今⁑⋆



 三人姉弟で、ヨシ子の息子キヨシはどのような人生を歩んでいるのか?


 一九七九年キヨシ二十二歳。

 昔家族で住んでいたサンカの住み処だった場所はとうに無くなっていた。

  

 父親のゴロウも殺害されて、今はこの大阪市西成区のあいりん地区 田端組に属する若衆——

 要はやくざの一番手下だ。 六歳で売られたキヨシは、奴隷としてこき使われていたが?辛さのあまり逃げ出して路上生活者となった。 そこで田端組長に拾ってもらった。



あいりん地区一体にある暴力団事務所の中でも、一・二を争う暴力団事務所、おもに詐欺・薬・土木・風俗経営などに携わっている。


 キヨシは母に似た美形で、日中はヤクザの仕事を叩き込まれ、夜はホストクラブのホストに就かされている。


 美形で優しく身長もあの時代で一八〇㎝も有り、これだけの美形でも気取ったところが一切無い、高齢のご婦人には特に気を使い、サッと手を差し伸べて事故が起きないように気配りが万全な、又ニコニコ優しいこのホストクラブキングには無くてはならない存在になって行った。


  キヨシは、いつも昔を思い涙する。 皆とバラバラになってしまい中には殺害された者も……。

「ああああ許せない!許せない!許せない!」 憎しみのこもった目で、天を仰いでいる。


 父親のせいで一家離散、 恋しい母と、いと姉ちゃんと、まだ赤ちゃんだったみよは一体どこに行ったのか?姉ちゃんが五歳で、俺が三歳になったばかりの頃、母と姉が次々とさらわれて……。


  幼い頃の事は微かに覚えている程度だったが、母と姉の事は余りにもショッキングな出来事に、幼少ながらハッキリ覚えている。


 あの優しい母と姉に、まだ三歳ながらに微かにおぼろげにでも、愛情を一心に浴びていた頃を思い涙するのだった。


 もう一度逢いたい一心で生きてきた。こんなヤクザのやさぐれた悪の権化に身を置かなければいけない身を只々恨めしく思うキヨシ。


 今姉は二十五歳位、何処ににいるのか? 又何故こんな目に合わなければならなかったのか?

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