第14話 勇代議士はどうなる***
「勇さんよ~大物政治家の元首相の大野さんや大蔵大臣の飯田さんが窮地に立たされている。馬鹿正直に裁判で自供するなよ~!」
「そりゃ~分かってる!だがな~?あまりにも汚いやり方は?」
「それから洋子の事もあまりにも酷くないかい!」
「・・・・・」
「ギャ――――」
茂の父親勇が殺害された直前の会話だが、あの麒麟汚職事件は茂の父勇は否定的だった事が伺える。
それでも…洋子に近い関係者との会話にもとれるが……。
勇殺害犯は、洋子の知り合いなのだろうか?
🔷🔶🔷
一九八〇年。年の瀬も押し迫った勇代議士が行方不明になる半年程前の事だ。
由美子二十歳は、有名お嬢様大学の二年生。同級生の公務員のお嬢さん幸子と、電車で通学路に会う有名国立N大学の爽やかなイケメンの話でもちきり。
「絶対私の方が向いてる!由美ちゃんは男の子っぽいのよね~!私は尽くすタイプだから~!」
「幸ちゃんあまりにも一途な娘は重いのよね~男が引くわ~!」
「よくも言ったな~」
「アハッハッ ハッハッハッハ!」
今日も名も知らぬ、ただ人づてに聞いた、愛知県最難関N大学の学生さんだと言う事だけは分かっている学生さんの事で二人は頭の中が一杯。
その時に前から歩いてきた二十五歳位の女性に声を掛けられた。
「アッ由美子さんチョット話しが…?彼女?チョット由美子さんに話があるので外してもらえないかしら……」
幸子は席を外して欲しいばかりの女性の只ならぬ雰囲気に、ベンチに座り話が終わるまで待っている。
(それにしても…何か…怪しい女性?)
幸子はせっかくの楽しい会話をさえぎれた憤りと…何かしら…あの女性の醸し出すいやらしい雰囲気に一抹の不安を拭いきれない。
「あなたの事で重要な秘密を知っているの?秘密を教えて欲しかったら私とたまに会ってね!御両親には絶対内緒ね!」
こんな赤の他人の言う事なんか?
その反面(一体私に何があると言うの?)秘密が知りたくて、その後もチョクチョク会うようになったのだが?
この訳あり女性に何か、得体の知れない……?
🔶🔷🔶
由美子も二十二歳。
最近は、ヤマト醬油の次期社長になるべく、両親から会社の経営を叩き込まれている。
「私の過去と言ったって私は物心ついたころからズ———ッとこの家にいるわよ~変な女?」
由美子は、過去の山奥の暮らしなど記憶にない。 ヤマト醬油のお嬢様だという事を露ほども疑ったことなどない。
幼い頃から両親の愛情を一心に浴びて、周りを太陽のように照らすひまわりのような明るい幸せオ―ラ全開のお嬢様なのだが?
あの二十五歳位の今尚素性の分からない謎の女性の正体は……。
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