第12話 クラブREMI
銀座の高級クラブREMIは、フィクサー小森が裏で仕切っているクラブ。
銀座ナンバ―1との呼び声高いクラブには、次期総理大臣候補の村上宏も、お店ナンバー1のヨシ子に会いたくて時間が空くと、VIPル―ムでヨシ子との時間を楽しんでいる。 和服姿のヨシ子の美しさと、包み込むような優しさに、宏も仕事の辛さからほんのいっとき、解放される。
そして…自分だけのものにと密かに考えあぐねている今日この頃。 いくらお妾さんにするからと言っても、日本屈指の上菱財閥の孫、おばあ様が上菱銀行総帥の次女なのだ。
素性の分からない、いつ?足をすくわれるか分からない危険な女では……?
早速秘書に調べさせた。
すると石川県金沢市の農村の娘さんで、木村百合と判明。 実は小森の策略でヨシ子とは、全くの赤の他人、木村百合の戸籍に入って生きて行くことになるヨシ子。
木村百合の家族は、百合が老舗の反物屋に奉公に上がっている時に、火事に合い一家もろとも焼け死んでしまい、百合は天涯孤独の身の上だった。 だが…いつの頃からか分からないが?木村百合は消息不明……。
一体どこに消えたのか?
サンカは、人間社会とは完全にシャットダウンされた独自の生活をしているため、その存在事態把握されていないのが現状。
その為、サンカには戸籍がない。
たとえ…クラブのホステスと言えども、戸籍もない怪しい人物では到底出世は出来ない。その為、木村百合の戸籍に入って生きている。
きっと木村百合はもうこの世の中には……?
🔶🔷🔶
元々妻とは政略結婚。大企業『ウオッシュ1』の三人姉妹の次女。
主に食器洗剤や衣類洗剤などを扱う日本有数の大企業のお嬢様なのだ。 政治活動をしていく上では、切っても切れない重要な間柄ではあるのだが、妻とは、最初から愛情など存在しない冷え切ったものだった。
兄が地盤を引き継ぐ事になっていたのだが、肺結核であっけなくこの世を去った。
その為に宏が、急遽地盤を継ぐことになったのだが、私立の雄K大学の経済学部に通う彼女とは、ゆくゆくは結婚の約束もしていたのだが、両親の反対にあい無理矢理引き裂かれた。
上菱財閥の孫に当たる宏は、上菱銀行への就職が決まっていた為、ゆくゆくは彼女との結婚をと、着々と準備を進めていたところだった。
彼女の家は代々葬儀会社を経営していた。その為長男だった彼女の父親は葬儀会社を経営、母親はフィリピン人だった。
由緒正しい上菱財閥一族の孫。親の大反対にあい無理矢理引き裂かれた。
ちゃんとした葬儀会社だが?また母がフィリピン人というのもネックになり、あの時代異国の東南アジア人は良家には……?今から五十年前の事。
「良家の嫁にはとんでもない」と門前払いを食らった。 あの時はどうしても別れる事が出来ず、追い詰められ苦しんだものだ。
そして今、昔愛した彼女にあまりにも似ているヨシ子を目の前に、一瞬にあの時代に引き戻され、あの時代が蘇るのだった。
♦️🔷🔶
一九六五年ヨシ子は今三十三歳……高級クラブREMIも辞めて郊外にお洒落な一軒家を建てて貰い、今までに一度も味わった事のない幸せに満ちた生活を送っている。
そして一年後には、宏との間に息子が誕生、ヨシ子は幸せの絶頂。
しかしヨシ子の周りでは、何人もの大切な人々が、行方不明になっている。
一体誰が何の為に……?
宏からは「そんな事に足を突っ込むな!俺が調べてやるから」と口が酸っぱくなる程言われているのだが?
一体サンカはどこに消えたのか?
戦時下の焼き尽くされた日本列島。その為食料難という事情から、無籍なので配給に便れない。こうして戸籍に入って一般社会へと組み込まれサンカは減少の一途を辿った。
更には高度成長の波が押し寄せ、至るところが建設ラッシュ、行き場を失ったサンカはどこに消えたのか?
大切な人達が何らかの事件に巻き込まれたのでは?と気が気ではない。
闇から闇に葬られたのか?ヨシ子は秘密裏に調べ出した。 そして最近誰かに、付け狙われているような感覚に見舞われる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます