第9話 洋子は夢を見る*⁂
洋子は、いつも不思議な夢を見る事がある。
あまりにも幼な過ぎて夢か?あれは現実だったのか?
「暑いから北の方向に流れよう、きっとその地では夏を乗り切る事が出来る。」そして一同は北の地に流れ着いた。
魚をみんなで釣ったり、山菜を摘んだり 夏場は河原で多少の激流など、どこ吹く風、岩や石ころをすり抜け下流まで水中探検をして暗くなるまで遊んだ。
冬には冬眠中の熊や鹿を撃ち殺して食べたものだ。 (と~っても美味しかったが、目の前でさばかれ、それ以上に可哀想と子供ながらに思ったものだ)
ボロボロのテントを張り、みんな一緒にめしを作り、山菜を摘んだり、魚を釣ったり、竹細工や川魚等を山里に持って行き、必要なものと交換(金品・穀物・野菜・火縄銃等)と交換してもらい、冬場に熊や猪を仕留めてワイワイ大人も子供一緒にたべたものだ。
だが…楽しいことばかりではなかった。
(どうも…先祖は元々穴暮らしをしていたらしい。 だから、先祖に習い大雨の時は、山の斜面に穴を掘り雨風をしのいで身を守っていた)
そして皆で安住しない放浪の旅に出る。
(嗚呼…今でも分からない。あんな世界が本当に有ったのか?)
🔷🔶🔷
随分昔の事にはなるが……?
山奥に眼光の鋭い武骨な四角張った顔の大柄な男の姿が……!
その男こそ…あの裏社会のフィクサ―。
押しも押されぬ裏社会のフィクサ―にまで上り詰めた小森だが、まだ駆け出しの頃の話だ。
のちの裏社会のフィクサー小森三十五歳は、大柄な四角張った顔に、鋭い眼孔から放たれる目付きは、ひとめで堅気とは程遠い訳ありの、その筋の豪腕にしか見えない面構え。
また、若い方のチンピラ竜二は、長身に加えスラリと伸びた長い手足、それはまるで映画のスクリ―ンから飛び出して来た青春スターと見間違う程の優男。
「おい!確かこの辺りで金になりそうな、目を見張る綺麗な女を見掛けたのか?ずいぶん辺鄙なところだな~、こんなところに人が本当に住んでいるのか~?」
「アッいや?もっと山奥だった気がします。」
「今日中に探すぞ~」
そして…入り組んだ…かなり奥まで入って行くと……?
「アッこの辺りです。」
「オオ~ここか?その女を探すゾ~」 それにしても…かなりの辺境の地。
「ああああいました!!!あの女です。」
「本当だな~いい女だ」
「ヨシ!あの女は金になる」
「お前が、あの女を逃げないよう面倒見ろ。いつものようにお前から離れられないようにしとけ!ヤサオトコさん⁉お前の魅力でな…」
「おい評判の美人がいると聞いてここに来たが?この女の子滅茶苦茶可愛いじゃないか~」
「本当ですね~」
「おじちゃんと一緒に来るか~?旨いもんたらふく食べさせてやるから!」
いとは、言葉が分からないので顔をクチャクチャに歪めて、凄い形相で抵抗している。 一体…いとをどうするつもりなのか?
そんな時に、いとの、一つ年上の近所のうめが行方不明になった。
ともじいさんの話では、朝方のまだうす暗い時間に、うめが無理矢理引きずられていったらしいとの事、一体何処に!
🌌
そして十年後…あの時の優男竜二は、子分を引き連れ現在、柳川会の若頭に上り詰め、頻繫にある家族を脅迫している。
「娘の秘密ばらされたくなければ、分かってるな?さっさと金出しな‼」
「もうこれっきりですよ、さもなければ警察に訴えますから~!」
「フン!訴えれるものなら訴えて見ろ」
一体娘とは、誰なのか?
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