第8話 麒麟汚職事件
一九八一年東京地検特捜部は大手商社『菱田商事』と中堅コンクリート加工や鉄骨構造用資材製造卸売メーカ―『麒麟』によるコンクリート加工(AⅬC【軽量気泡】コンクリート資材も製造販売)や鉄骨構造用資材の架空取引事件を摘発し、菱田関係者や麒麟関係者らを逮捕。
詐欺罪等で逮捕した麒麟の副社長の供述や押収資料の中から巨額の使途不明が有り、捜査過程において国土交通副大臣との密接な関係が浮かび上がった。
一九七〇年代後半、時代はオフィスビルの建築ラッシュ又マンションが一般化し、民間デベロッパ―による大型開発が増加し、第四マンションブ―ムとなった。
東京へ通勤圏として、神奈川、千葉、埼玉、東京都隣接エリアのマンション供給が盛んに行われた。
八〇〇〇万円の供与を受けた受託収賄罪の疑いで東京地検特捜部が田中副大臣を逮捕。 麒麟から政界には、田中の他に5億円近くが流れていた疑いがある。
麒麟との関係を指摘された政治家は十人近くにも及び、田中の所属派閥(安藤派)の議員が多く、衆院議員で元大蔵官僚の飯田正が証人喚問をされ、大野善吉元首相が参考人招致をされた。
その時に安藤派の茂の父勇も証人喚問されたが容疑不十分で不起訴となっている。
この事件で麒麟副社長は、一時は刑が確定したのだが?容疑不十分で不起訴となった。
一九九〇年に田中副大臣に対しても最高裁まで持ち込まれたものの最高裁でひっくり返り、不起訴となっている。
実は、 田中副大臣を陰に陽に支えたのが『麒麟マネ―』である。
中小企業に過ぎなかった麒麟は、道路建設リゾ―ト開発と、手を広げ急速に業績を伸ばしたが?その後ろにいたのが田中なのである。
大規模な仕事を受注する見返りに料亭でのお得意さんと会食、妻の海外旅行の手配など散々金品をむしり取って味を占めていた。
公的融資や許認可などで、田中氏が口利きするその見返りに、麒麟は会社を挙げて支援した。 選挙になると、麒麟社員が駆り出され、事務所には田中のポスターも大々的に貼られてあった。 更に田中の子息も社員として入社させていた。
麒麟から田中氏に流れた金は、四億円弱…… この一連の事件は裏社会のフィクサー小森が田中に口利きをした。
実は、この小森は政財界のフィクサーで凶暴極まりない恐ろしい男なのだ。金の為ならたとえ火の中水の中、美味しい話に小森有りとまで言われている冷酷非道な男、当然仕事以外の口利きもしている。
小森の出自は不明だが、幼少期は酷い貧乏暮らしで父親と二人で掘っ建て小屋で住んでいたとされる。
五歳で母親をなくし、六歳で朝鮮に住む親戚の家に預けられ、京城商業専門学校を卒業した後、来日して荒川区のバ―の下働き。
そして右翼団体に所属するなどして、いろんなコネや人脈を広げていった。 大物が不起訴になった裏では、それに携わった人物が、闇にほおむりさられている。
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