第18話 選択 1/2

「さてさて。咲ちゃんが思い出してくれたことだし、本題に入りましょうか」


 立っていた4人が再びソファに集まり、グザファンちゃんが言った。


「本題?」


「そう、本題」


 相変わらず腕を絡めたままのアザちゃんに向かって首を傾ける。


 なんだろう、本題って。


「咲ちゃんあのね、アザたちと一緒に来ない?」


「……ん?」


 一緒にって、

「どこに」


「おいアザエル、言葉が足らないだろ」


 その通りですウァサゴちゃん。


「あっ、ごめんごめん」


 眉をハの字にして笑うアザちゃんも可愛いです。


 じゃなくて!


「あの、どこに?」


 もう一度尋ねる。


「それはねえ、アザたちだけの楽園に」


「楽園?」


 ごめんなさい、聞き直したけど尚更訳がわからなくなりました。


 楽園ってなに。


「そう、楽園」


「私たちだけの」


 グザファンちゃんとラハシュちゃんが繰り返し言ってくれたけれど、全く理解不能。


「深く考えないで、想像してみて。アザたちと咲ちゃんだけが存在する世界のこと」


「想像」


「うん」


 アザちゃんが耳元でささやいてくる。


 それだけで頭がクラクラしてきて、まともな思考なんてできそうにない。


「こんな世界、捨ててしまおうよ。咲ちゃんを独りぼっちにした世界なんて」


 未練なんてないでしょ?


 重ねられた言葉に、頷くことしかできない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る