第17話 目覚め 2

「早速イチャイチャしてる」


「ずるーい」


 今度はラハシュちゃんとオルニアスちゃんの声がして、視線を逆方向に向けると、2人はマグカップを持って並んで立っていた。


「ずるくないもん。咲ちゃんは私のものだもん」


「うぐっ」


 聞きましたか。「もん」って。語尾も可愛い。最高か。


 って、待った。


 ふざけてる場合じゃない。


「あの、えっと。夢の中のことなんだけど」


 敬語が口から出かけたけど、なんとか堪えてフレンドリーに。


「うん、なに?」


 だから首を傾けないで! 貴女のあざとさのせいで話が脱線しそうになるからっ。


「ぐっ……はっ、羽根」


 すみません、単語しか出てきませんでした。


「あぁ」


 必死に絞り出した言葉に対して、アザちゃんの対応はあっさり。


「思い出したんだから、もう隠しとかなくていっか。ね、グザファン」


「そうね」


 キッチンから現れたグザファンちゃんは、ラハシュちゃんとオルニアスちゃんの横に並んだ。


「いい加減窮屈きゅうくつだもの」


 4人がグザファンちゃんの言葉に頷いた瞬間、バサッという音と共に背中から黒い羽根が現れた。


「わぁ……」


 初めて会ったあの日とは違う、真っ黒な羽根。


 けれど、その美しさは変わらない。


 神々しくて眩しくて。


「どう、咲ちゃん。綺麗?」


「うん、綺麗」


 隣のアザちゃんの羽根を見つめながら言えば、彼女は満足そうに微笑んだ。


「良かった。咲ちゃんがアザたちの本当の姿を知っても、嫌いにならないでくれて」


「嫌いになんてならないよ!」


 自分でもびっくりするほど大きな声が出てしまった。


 でも、伝えたい。


「滅茶苦茶綺麗だし、素敵だし。言葉じゃ言い表せないよ」


「ふふふっ、ありがとう」


 そうやって微笑む貴女も可愛くて、綺麗です。


 流石にそれは言えなかったけど。恥ずかしくって。

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