第15話 推しと両想い 1/2
「嘘でも冗談でもないよ。本気だから」
私の思考を見透かしたように、力強く言った。
「アザちゃん……」
初めてライブに参戦したあの日から貴女だけを見つめ続けてきたからわかる。
その言葉が真実だと。
その瞳に嘘はないと。
ねぇ、神さま。
何度もアナタを恨んだけれど、こんなことがあっていいんですか。
推しと両想いだなんて、こんな幸福があっていいんですか。
じっと見つめ合う私たちに、
「弱ってるところにつけ込むなんて、悪い女ねえ」
ラハシュちゃんが頬杖をつきながら言った。
「悪い? 今しかないじゃん。想いを伝えるタイミング」
「はいはい、そうね。だけど、咲ちゃんを好きなのは貴女だけじゃないのよ」
みんなの視線が私に突き刺さる。
「え?」
「私たちも咲ちゃんのことが大好きなんだから」
「……」
えっと、ん? はい?
「あははっ、咲ちゃん受け止めきれてないよ」
笑わないでオルニアスちゃん。
緊急事態だからこれ。
「そりゃそうでしょ。最推しと両想いってだけでもキャパオーバーなのに、他の4人も『好き』だなんて……ねえ」
流石リーダー。グザファンちゃん、その通りです。
頭が大混乱。パニックです。
「えっと、あの、え、うん、はい、え」
自分でもなにを言ってるのかわからない。
というか、言葉にならない。
「まぁまぁ落ち着いて」
肩をポンッと叩いてきたグザファンちゃん。
前言撤回。
貴女も私を混乱させれている要因の一つなんですよ!
落ち着けるかっ。
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