第14話 孤独の終わり 2/3
未だにリビングのドアの前から動こうとしない私に業を煮やしたのか、アザちゃんが立ち上がって、
「ねぇ咲ちゃん。言ったでしょ、私たちが話を聞くって」
私の右手を両手で包み込んだ。
「教えてよ、咲ちゃんになにがあったのか。雨の中、傘を差さずにいたのか。全部」
純粋な目。
誰よりも綺麗で可愛い、私に残された唯一の光。
柔らかく微笑む彼女。
きっとこの世に天使が存在するのなら、彼女みたいな人のことを言うんだろうなあ。
なんて考えながら、私は頷いていた。
アザちゃんに手を引かれてソファに座った私は、全部話した。
独りぼっちになってしまったこと。
家族の後を追うことを考えたこと。
でも、アザちゃんの言葉を信じて、また会いたくて生きてきたことを。
途中から涙が頬を伝って言葉に詰まることもあったけれど、みんな真剣に話を聞いてくれた。
「咲ちゃん」
涙でグチャグチャになった顔をティッシュで拭いてくれながら、アザちゃんが優しく名前を呼んでくれた。
「はい」
「もう独りぼっちじゃないよ。アザたちがいる」
「……うん」
止まりかけていた涙が再び流れ出す。
「辛かったよな、苦しかったよな」
ウァサゴちゃん。
「生きててくれてありがとう」
ラハシュちゃん。
「元気……じゃないけど、生きて、こうしてまた会えて嬉しいよ」
オルニアスちゃん。
「どんどん泣いたらいい。我慢する必要なんてない」
グザファンちゃん。
みんなの言葉が抱えていた苦しみを中和してくれて、悲しいけど嬉しくて。
更に涙が溢れ出す。
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