第13話 天使たちの家 2/3

 ドタバタドタバタ。


 頬が赤くなるのを感じながら考え事をしていたら、家の中から沢山の足音が聞こえてきた。


「あっ、ホントに咲ちゃんじゃん!」


「漸く来てくれた」


「咲ちゃーん、待ってたよ」


 オルニアスちゃんが元気よく玄関口に出てきて、その後ろでグザファンちゃんが微笑んでいて、ウァサゴちゃんが手を振ってくれてる。


 もう彼女たちはアイドルじゃないのに、ただのファンでしかない私のことを、こんなにも歓迎してくれるなんて。


 それだけで嬉しくって、堪えていた涙がついに零れ落ちた。


「ありゃりゃ、咲ちゃん泣いちゃった」


「誰よ泣かせたの」


「ボクじゃない」


「ちっ、違うんです」


 何故か言い争いを始めた3人に、慌てて否定する。


「みんなはもうアイドルじゃないのに……一般人に戻ったのに、あの頃みたいに私に優しくしてくれたのが嬉しくって」


 涙を見られたくなくってゴシゴシと目を擦っていたら、

「そんな寂しいこと言わないで。私たち、ずっと咲ちゃんに会いたかったんだから」

 いつの間にか姿を消していたラハシュちゃんが、タオルを片手に現れた。


「そうだよ。ねえ、アザたちの言葉が信じられない?」


 手を繋いだまま、アザちゃんが首を少し傾けて私に微笑んだ。


 あぐっ。


 引退してもあざとさは健在。


 何度見ても慣れない、彼女の愛嬌。


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