第12話 再会 1/2
「えっ、えっ、えっ……アザちゃん?」
「そう。貴女の推しのアザちゃんです」
一歩踏み出した彼女と私の距離は、わずか数センチ。
傘に叩きつける雨音に負けないように、アザちゃんは、
「あれからずっと信じてくれたよね」
優しく、少し大きな声で言った。
久しぶりに会えた推し。
「うん、信じてた」
心の支えだった推し。
「だから……頑張って生きてきた」
嬉しくって、喜びで胸が震えて、涙がこみ上げてくる。
「信じてくれてありがとう。私も信じてた。また、咲ちゃんと再会できるって」
アイドルの頃と全く変わっていない輝きを身にまとったアザちゃん。
一般人に戻ったはずなのにね。
雨なのに、太陽に照らされたように明るく見えるのは、やっぱり恋をしていたからなのかな。
いや、過去形じゃない。
今も貴女のことを愛している。
心の底から求めてる。
「ここら辺に住んでるの?」
「うん」
「そっか。アザたちも」
「も?」
言葉に引っかかりを覚えて、彼女の言葉をオウム返し。
「そう。グザファンもラハシュも、オルニアスもウァサゴも一緒に住んでるの。
「そうなんだ」
まさか同じ家に住んでいるなんて。
きっとそこは楽園なんだろうな。
輝きと華やかさで満ち溢れた、素敵な家なんだろうな。
私なんかが踏み入れる資格のない、
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