催促
それは前触れも無く始まった――少なくとも、そう思っておりました。
「ツイッターみてください!」
「DMを送りました」
「再度ひらいてください!」
「ツイッターをみて!」
私の作品へ次々と送られてくる謎の応援コメント。
それらの差出人は、いずれも「その方」でした。
それだけでなく、応援ボタンを連打したかのように何度も何度も同じエピソードの通知が消えない日々。明らかな異常性を感じました。
これらのコメントは「その方」自身が消去されましたが、カクヨム運営から送られてきた通知メールにはしっかりと痕跡が残っております。
改めて数えましたが、なんと短期間に16回です。
また、この通知メールを利用し、私の情報を周囲に吹聴していたことが判明しました。
しかしながら、このような異常行為に反し、その方の普段のコメントやレビュー内容はしっかりとしたものだったのです。ですので、私は意思の疎通が可能だと判断し、TwitterのDMでのやり取りを受けました。
尤も、そうした最大の理由は、「これ以上作品を無意味に穢されたくないから」に他なりません。大量のスパムが投下された作品など、どなた様も読みたくはないでしょう。関わりあいになりたくないはずです。
私にとって作品は我が子です。絶対に穢させるわけには参りません。
その方からの内容は「あなたのことが好きになった」といったものでした。
未だによく理解できなかったのですが、どうも「ネット上だけの恋人関係」になることを迫られていたようです。
私は自身の性別を公表しておりませんし、恋愛観は人それぞれですので多くは申しません。
ともかく、当然ながら私はその申し出を断りました。
私はカクヨムに婚活をしに来たわけではありません。また、年齢的にも境遇的にも恋愛をしている時間は残されておりません。
文字通り、残りの人生を懸けて『ミストリアンクエスト』という作品を世に遺さなければならないのです。
それが私の生きる目的そのものです。
それを真摯にお伝えし、納得して引き下がっていただけた――
――それは、甘い考えだったようです。
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