第3話 華のJK!華の部活!
「ねみぃ・・・まだ朝5時かよ」
「珍しい。たくみがおきた」
「おはよ。朝飯作るから待っててね」
「うん」
珍しく、朝5時に目が覚めた俺。普段美玖はチアリーダーのユニフォームに着替えてから俺のことを起こすはずが、まさか俺から体を起こすとは思っていなかったのだろう。
「パパッと作って、すぐ行くか」
「フレフレたくみっ!ふぁいとー、おー!」
学校に早く行きたくてしょうがなかった俺は、ポニテを作らなかった美玖の応援を半ば無視して朝飯を作り始めた。その結果普段10分かかる朝ごはんが今日は半分の5分で出来てしまった。
「はやーい・・・」
「ネタが来ててな・・・」
「だからはやいの!?」
「おう」
自分の趣味に付き合わされるとか不憫かなぁと思った俺だがそこは容赦ない。というか、美玖自体が電車を好きになりたいとかいう「どうしたお前」案件を出しているので、こちらからしたらありがたいのだが・・・。
制服に着替えて美玖のポニーテールを作り、いつもの赤いチアのリボンをつけて外に出ると、既にバスは到着していた。どうやら、まだお客さんが乗る時間ではないようだ。
「お待たせいたしました。6時32分発、
「ねぇ今うちらだけだよね・・・?この声って・・・」
「兄さん!?」
「おぉ、たくみと美玖ちゃん」
「おはよー!!ぎゅ〜っ♡」
「朝から元気だねー、美玖ちゃんってこんな元気だっけ?」
「まぁ、チアリーダーはいつでも元気じゃないかな」
「ってか、2人揃ってこんな朝からどこ行くの?」
「キサ駅。兄さん、なんか見なかった?」
「あぁ、パー線ね」
「木更津駅の久留里線に何か来てるの?」
「すごいレアなやつが来てるんだって」
「キサ駅の留置線に匠が見たいものが停まってるよ」
「マジで!さんきゅー」
「お客さんいない?」
「うん」
「今・・・32分だね」
「じゃあ、行こう!畳ケ池経由木更津駅東口行発車いたします。扉閉まります。ご注意ください。2人とも、捕まっててね」
「はーい」
約15分乗車の後、キサ駅こと木更津駅に到着。朝から撮りたいもの、それは蒸気機関車であった。
「なんでSLがここにいるの?」
「団体臨時が近々あってなぁ・・・多分それの訓練でしょ」
「そっか・・・乗りたいなぁ・・・」
「部活見学終わった週末にチケット買ってあるから。そこまで我慢しなね?」
「えっ、たきゅみん2人分買ったの!?」
「そらもちろん。買いましたよ。往復で」
お目当てのものを撮って折り返しの太田経由が来るまで美玖と話す。だって乗りたいものは乗りたいんだもん。しゃあないやん。
「今日は部活見学があります。各自最低一個は見学して帰るようにしてください。起立。礼」
「ありがとうございましたー・・・おいマジかよ、一個???」
「美玖はチア部行く!」
「俺どうすっかなぁ・・・」
「たきゅみ、今チア部のマネージャー募集してるんだって」
「は?」
「しかも、男の子のマネージャーだって!」
「・・・お前、ついに壊れた?」
「じゃあ見てよ」
「・・・」
「ね?」
「だな。・・・アテもねぇし、行ってみるか」
そうして俺は学校一華の部活、チア部の見学に行くことを決めた。決してやらしいとかそういうわけじゃなく、ただ美玖が来てほしいだけであるわけだ。
「たーきゅみー。みてー」
「もう体験入部する気か!?」
「あっ、マネージャーっぽい!」
「馬鹿野郎・・・」
それから10分、美玖は本気で踊ったようで満足感のある顔をして戻ってきた。
「久しぶりに本気で踊った〜・・・」
「まったく、汗だくじゃねーか」
「でもいいもん、たっくんの練習になったでしょ?」
「お前は何を言っているんだ」
「ご乗車の際お足元十分にご注意ください。太田方面清見台団地行です」
帰りのバスはこの前の松間さんが乗務。美玖はすっかり疲れて、いわゆる「オタク席」に座って寝てしまった。
「爆睡だねぇ」
「こいつさっきまでガチで踊ってましたんでね。あそいや今日キサ駅にSL来てたんですよ」
「裕太から聞いたよ。なんか団臨があるみたいだね」
「今度の土曜、美玖と2人で行くんですよね」
「マジ?じゃあ写真頼んだよ」
「りょーかいですー」
「清見台着いたけど起こす?」
「あ、大丈夫ですよ。2人とも定期なんでとりあえずこれだけ見せて・・・美玖ほれついたぞ。とりあえずまっさんあとで連絡しますわ」
「はいよー。またね」
そう言って俺は美玖を起こし、家に帰ったのであった。
To be continued.....
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