エピローグ
「蒼に守られし街、ね……元からあったものじゃなかったのか。それで納得したよ、この場所にも。生贄の風習ってのも、そのためのものか。考えたね、昔の人も」
街の門を出たところで、クラーレは一人ごちた。
「しかし……代償つきの授け物、か。延々と代償を求める辺りが、何とも言えないね。天というのも、その程度ってことだね? ……おっと、これはこの大陸じゃご法度の発言か。シスター・リュノルが聞いたとしても嫌がるだろうね」
もう一度だけ、と思いクラーレは街の方を見た。蒼い街。蒼に守られた街。
クラーレは思った。エルロイは気付くだろうか。石板の言葉の意味に。そして、一人増えた乙女のレリーフに、と。
「ま、エルロイ君なら大丈夫かな。さて、行くか」
目元をぐっと袖で拭うと、クラーレは荷物を背負って、街を背に歩き出した。
行く手には、どこまでも続く砂の海が広がっていた。
蒼に捧ぐ 月雲 @yueyun
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